「相手の気持ちを下げる言葉を使っていませんか?」
そう語るのは、これまでに400以上の企業や自治体等で組織変革の支援をしてきた沢渡あまねさん。その活動のなかで、「人が辞めていく職場」に共通する時代遅れな文化や慣習があると気づきました。
それを指摘したのが、書籍『組織の体質を現場から変える100の方法』。社員、取引先、お客様をうんざりさせる「時代遅れな文化」を指摘し、現場から変えていく具体策を紹介。「まさにうちの会社のことだ!!」「すぐに実践してみます!」と、とくに現場リーダー層を中心に多数の反響があり話題に。この記事では、本書より一部を抜粋・編集し、「人のやる気を奪うリーダーの言葉」を紹介します。
気持ちを下げるネガティブな言葉を使う人
あなたの組織では、外部の協力企業を「業者」と呼んでいないだろうか?
相手を下請け扱いしていると考えられ、ネガティブに捉えられやすい。言われた方も「自分たちは下に見られている」と思い、不快に思う人もいる。それでは良好な関係構築は遠ざかるだろう。
一方で「お取引先」「協力会社」「ビジネスパートナー」と表現する企業もある。ネガティブ(否定的)な表現を避け、なるべくニュートラル(中立的)またはポジティブ(前向き)な表現を使おうと心がけているのだ。
言葉の選び方や表現の仕方一つで、相手やその仕事をどう見ているか窺い知ることができる(または誤解されてしまうこともある)。
また、たとえ本心ではそう考えていなくても、「業者」や「下請け」などの言葉を使ううちに対応自体がぞんざいになっていき、共創をはばむこともある。日頃何気なく使っている用語や表現が、組織の体質に影響を及ぼしてしまうのだ。
メンバーに「詰め寄って」いないか?
ちょっとした表現の違いが、場や相手との関係を明るくも険しくもする。それは社外の人相手に限らず、職場での日常のコミュニケーションでも見受けられる。
たとえば、あなたが上長に新しいビジネスプランを提案したとしよう。その際に「うまくいく根拠は?」「動機は?」と問われたらどうか。ギスギスした気持ちになってしまうこともあるのではないか。
一方で、こう問われたらどうだろう。
「勝算をどう見ていますか?」
「その提案に至ったストーリーを聞かせてください」
こう問われれば、モチベーションも上がるかもしれない。人としてリスペクトされている。そんな気持ちにもなる。
前向きな表現で言い換えてみよう
相手に「後ろ向きだな」「ネガティブだな」「上から目線だな」、あるいは「上がらないな」と思われたくないなら、普段の言葉を前向きな表現に言い換えられないか考えてみよう。
たとえば社外向け資料や書類に散らばっている「業者」なる表現を、片っ端から「お取引先」「ビジネスパートナー」に改めるところからでもよい。
「手順」や「プロセス」ではなく「ジャーニー」と言ってみるなど、今風の言い方にしてみてカッコよさを出してみるのもあながち悪くはない。
無理してキラキラした表現、大げさな言い回しに改める必要はないが、せめて「下がらない」言葉を選択していきたい。
(本稿は、書籍『組織の体質を現場から変える100の方法』の内容を一部抜粋・編集して作成した記事です。書籍では、「時代遅れな組織文化」をなくすための具体的な方法も紹介しています)