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良いこともストレスになる
人生には、喜ばしい出来事がたくさんあります。しかし、それらがストレスの原因になることもあるという話をしたいと思います。個人が経験するストレスのレベルを測定するための「ストレス評価尺度」というものがあります。これは、人生で起こるさまざまな出来事をストレス度順に並べたものです。
最も高いストレス度を示すのは「パートナーとの死別」で、スコアは100です。これは納得のいく結果ですが、実はこの尺度には「昇進」や「結婚」などの良い出来事も高いストレススコアとして記載されています。つまり、嬉しいことや喜ばしい出来事でも、大きな環境の変化をともなうと、負担になるのです。
喜ばしいことでも負担になる理由
良い出来事は基本的にポジティブな感情をともなうため、あまりストレスとは思われません。しかし、実際には環境の変化や新しい役割の追加などで、精神的・肉体的な負担が生じています。
例えば、昇進すれば新たな責任が増え、結婚すれば生活が一変します。どちらも素晴らしいことですが、その変化に対応しようとすることで、知らず知らずのうちにストレスを感じるのです。
また、「楽しまなきゃ」「頑張らなきゃ」と思いすぎると、体がついていかず、逆に楽しめなくなってしまうこともあります。例えば、新しい仕事を始めたとき、ワクワクする気持ちがある反面、緊張して寝つきが悪くなることがあります。引っ越しや転職も、ポジティブな選択であっても大きなストレスをともないます。
ストレスを理解して上手に向き合う
良い出来事であっても、ストレスになることを理解しておくことが大切です。その認識がないと、「楽しいはずなのになぜか辛い」と感じたり、好きなことが嫌いになってしまったりすることがあります。そうならないために、次のような工夫をすると良いでしょう。
無理に楽しもうとせず、自分のペースで向き合う
負担を感じたら、一人で抱え込まずに周囲に頼る
環境の変化には時間がかかると理解し、焦らず慣れていく
これらを意識することで、良いことによるストレスを和らげ、楽しく過ごすことができます。
無理に楽しもうとしない
良いことでもストレスになるのは、人間にとって自然なことです。大きな変化には適応する時間が必要であり、無理に楽しもうとせず、自然体で向き合うことが大切です。
好きなことを長く楽しむためにも、自分の負担感を理解し、適切に調整することが必要です。自分のペースを大切にしながら、新しい環境を楽しんでいきましょう。
※本稿は『精神科医Tomyが教える 50代を上手に生きる言葉』(ダイヤモンド社)の著者による特別原稿です。