失禁に勃起不全… 悩める前立腺がん患者に朗報、尿を採るだけでリスクがわかる“画期的な検査”とは写真はイメージです Photo:PIXTA

尿を用いた遺伝子検査で
進行性前立腺がんを高精度で検出

 前立腺がんの診断を受けた場合には、どうすればよいのだろうか。がん自体が命に関わるものではない場合でも、治療の結果として失禁や勃起不全に悩まされることは少なくない。患者によっては、不安を抱えはするが、がんとともに生きながら経過観察を続ける方が良い場合もある。

 こうした中、尿サンプルを用いた遺伝子解析に基づく新しい検査が、早期死亡につながる可能性の高い進行性の前立腺がんの特定に役立つ可能性が示された。研究グループは、この検査が、前立腺がんを治療すべきか、経過観察すべきかを判断する際に役立つ可能性があるとしている。米ミシガン大学泌尿器科学分野のGanesh Palapattu氏らによるこの研究結果は、「The Journal of Urology」に1月21日掲載された。

 MyProstateScore 2.0(MPS2)と呼ばれるこの検査は、尿サンプルから抽出したRNAを用いて解析を行い、進行性前立腺がんに関連する18種類の遺伝子(高悪性度がん特異的遺伝子4種類、がん特異的遺伝子13種類、リファレンス遺伝子1種類)の発現レベルを評価する。MPS2のグレードグループ(GG)≧2(前立腺がんの悪性度の評価で用いられる指標であるグリソンスコアで7点以上に相当)の前立腺がんに対する検出精度は過去の研究ですでに検証済みであるが、その際には、直腸内触診(DRE)後に採取された尿サンプルが用いられていた。DREでは前立腺が押しつぶされるため、腫瘍からのDNAの破片が患者の尿サンプルに混入する可能性が高くなるという。

 今回の研究では、検査の利便性を高めるために、DREを受けていない対象者から提供された起床後最初の尿(初尿)サンプルを用いてMPS2の性能を検証し、また臨床的影響を前立腺特異抗原(PSA)検査および前立腺がん予防試験リスク計算ツール(Prostate Cancer Prevention Trial risk calculator;PCPTrc)と比較した。対象者は、PSAの中央値が6.6ng/mLの男性226人で、うち103人(39%)は生検でGG≧2の前立腺がんが確認されていた。