「もしかして腎不全かも…」尿の回数と量にあらわれる「危険な兆候」とは?【専門医が解説】写真はイメージです Photo:PIXTA

健康診断などで肝臓の数値は気になるが、腎臓の状態についてはさほど気にかけていないという人は多いのではないだろうか。中高年が特に気をつけるべき腎臓の病気とその予防法について、専門医に話を聞いた。(取材・文/日本文章表現協会代表理事 西田延弘)

中高年がかかりやすい腎臓の病気

 腎臓には血液をろ過し、体の中にたまった老廃物や水分、取りすぎた塩分などを尿として体外に排出し、体液を一定に保つ役割がある。腎臓の皮質には細い血管が糸くずのようになった塊があり、ここでタンパク質より小さな分子の物質はろ過され、水分とともに尿として尿細管という細い管に漏れ出ていく。

 中高年がかかりやすい腎臓の病気には、本来なら分子が大きくて尿細管には漏れ出ないタンパクが尿にたくさん出てしまう「ネフローゼ症候群」、尿中にカルシウムが結晶化して結石となる「腎臓結石」、血液をろ過する糸球体の網の目が詰まってしまって機能が低下する「腎不全」などがある。

 腎臓病や透析医療が専門の橋本クリニックの櫻井健治院長によると、ネフローゼ症候群は糖尿病、ウイルス感染、腎炎などによってあらゆる年齢で発症し、食生活を含めた日常生活の不健康な習慣や尿路の感染などによって起こるとのこと。塩分制限や利尿剤などによってむくみをコントロールし、ステロイド薬や免疫抑制薬によって治療が行われる。

 腎臓結石は男性では40代、女性では閉経後の50~70歳代で発症することが多いという。腎臓結石に対しては、1日2L以上の水分摂取や適度な運動などによって尿量を多めに保ち、結石を作らせないようにしたり結石が小さいうちに排出させたりする療法が用いられる。結石が大きい場合には、手術が必要だ。