以前は「FIRE」や「億万長者」の本が売れていたが、昨今は幸福感を味わえるお金の本が売れているようだ。
「人生で一番大切なのは思い出をつくることだ」と説いた『DIE WITH ZERO』が空前のベストセラーになり、「DIE WITH ZEROの次に読むべき本」と話題になっているのが『JUST KEEP BUYING』。そして、PIVOTの動画「幸せな金持ちになる方法(2/11配信)」で注目されているのが『THE ALGEBRA OF WEALTH 一生「お金」を吸い寄せる 富の方程式』である。『富の方程式』はゴールドマン・サックスCEOと世界的ベストセラー作家のモーガン・ハウセルが強力ダブル推薦する全米ベストセラーで著者は『GAFA』で有名なスター教授だ。今はそうでなくてもこれから“幸せな金持ち”になるにはどうすればいいのか。本書からワンポイントを抜粋・編集してお届けする(構成/ダイヤモンド社・寺田庸二)。

真の通貨はお金? それとも時間?
どれだけ金持ちでも、どれほど貧しくても、1日は24時間しかない。
誰にとっても同じ時間が、刻々とすぎていく。
無駄にしてしまった時間の払い戻しはなく、銀行は時間を貸してくれない。
富やチャンスをお金で測るのは現実的だ。
しかし、本当に重要な通貨は「時間」なのだ。
私が子どもの頃、父は出張が多かった。
両親が離婚する前は、出張に出かける父を、母と一緒にロサンゼルスのオレンジ・カウンティ空港までよく見送りに行った。
空港に続く通りから階段をのぼっていくと、円形のバルコニーがあり、そこにバーがあった。
当時はセキュリティチェックなしで中に入れた。
父との有意義な時間
父はいつも私をバルコニーに連れ出してくれた。
航空機のエンジン音が鳴り響くときは、私の耳を塞いだ。
私たちはパイロットがパーキングブレーキを解除し、砂浜に寝転がっていたアザラシのような飛行機の機体が、上空1700メートルを舞うワシへと変身するのを眺めた。
父は727とDC-9の違い(前者はエンジンが3つ、後者は2つ)、L-1011とDC-10の違い(3番目のエンジンが前者は胴体、後者は垂直尾翼にある)を教えてくれた。
パシフィック・サウスウエスト航空の飛行機は機首にスマイルマークが描かれており、バルコニーの窓越しに私たちのほうを見てニッコリ笑っていた。
その瞬間は、とても有意義な時間だった。
(本稿は『THE ALGEBRA OF WEALTH 一生「お金」を吸い寄せる 富の方程式』の一部を抜粋・編集したものです)