「割合」と「比」はどう違うのか
次は比の説明ですね。まず、割合と比はイコールではありません。比とは2つ以上の数における大きさの関係を表す、少し変わり種の概念です。
例として、「しょうゆとみりんの比が『2:3』」という表現の場合、2や3は相対的な大きさを表しています。つまり比とは割合を計算するための材料のようなもので、どんな数も「基準となる数」になりえます。「2:3:5」のように、数はいくらでも増やせるのも特徴です。
もし比から割合を計算するときは、比を使う人が「基準となる数」と「比較する数」を決めて計算しなければなりません。
たとえば、前出のしょうゆとみりんの比を「2:3」にしたいとき、しょうゆ10mLを入れる場合のみりんの量が知りたいとします。
いろいろな解き方がありますが、先ほど学んだ割合の考え方で解いて見ましょう。まず考えるのは、どちらが「基準となる数」になるのかということ。今回はしょうゆに対してみりんが何倍かがわかれば計算ができるので、「基準となる数」はしょうゆ、「比較する数」はみりんです。
次に、割合を計算するために比を見ます。しょうゆが2のときみりんが3なので、それを割合の式(比較する数÷基準となる数)に当てはめると「3÷2」。必要なみりんの量はしょうゆの3/2倍だとわかりました。
求められた割合をしょうゆ10mLにかけると、みりんは15mL入れればいいということになります
ちなみにいまは割り算をしましたが、「2:3」という比の2を1に変換できれば「しょうゆに対するさとうの割合」がわかります。
「:」の左右に同じ数を割ってもかけても比は変わりません。左右を2で割ると、「1:3/2」(1:1.5)になりますね。教科書的な割合の定義で使われる「元の数を1とみなす」というのは、このような意味だとわかるでしょう。
なお、比が「前年比」といった文脈で使われるときは、単純に割合そのもの(前年に対して今年は何倍か)を意味します。「比率」という言葉も割合と同義語です。このあたりが混乱を招きやすい原因なのかもしれません。