では、そもそも「子どもの育ち」や「発達」のゴールとは一体どうなることなのでしょうか?少し頭の中で考えてみてくださいね。「これかな?」という言葉が浮かんだ方は次に読み進めてくださいね。
答えは、「じりつ」です。モンテッソーリ教育(編集部注/約110年前にイタリアの女性医師マリア・モンテッソーリが築き上げた教育方法)では、子どもの育ちのゴールをひと言で表すと、「じりつ」だと考えています。
この「じりつ」には、2つの種類があります。
それは「自立」と「自律」です。音は同じ「じりつ」ですが、意味が異なります。では、「子どもの育ち」のゴールである2つの「じりつ」について、それぞれどのような意味があるのかを順番に見ていきましょう。
1つ目の「じりつ」は「自立」です。自分で自分のことができるという意味です。
こちらの「自立」には、「身辺自立」「精神的自立」「知的自立」などさまざまな種類がありますが、ひと言でまとめると、「自立」とは、自分のことが自分でできる、自分で考えて行動できるということです。
「おぎゃあ」と生まれた赤ちゃんは、最初自分で食事をすることも歩くことも話すこともできません。そんな赤ちゃんが、自分でスプーンを持って食事をしたり、行きたいと思ったところに自分で歩いていけるようになったりするのも、「楽しかった」「悲しかった」と自分の言葉でコミュニケーションがとれるようになったりするのも、全部「自立」です。
さらに、もっと成長して、自分がどのような学校に進学するのかを決め、自分の身の回りのことを自分で管理できるようになるのも自立です。
最初、大人のお世話が100%必要だった状態から、徐々に自分でできることが増え、自分を自分で管理していくことができるようになる。これは人間として生きていく上で必ず成し遂げたいことです。
自分の感情や行動を
コントロールする「自律」
もう1つの「じりつ」は「自律」です。「自律」は、自分で自分の感情や行動をコントロールするという意味です。
生まれたばかりの赤ちゃんは、自分の欲求や感情をコントロールすることができません。赤ちゃんは、お腹がすいた、眠いなどの不快感があると、泣くことで一生懸命教えてくれます。赤ちゃんは「今ちょっとお母さん忙しそうだからもう少し後で泣こうかな」などとコントロールなんてできないですよね。欲求のままです。