Photo:South China Morning Post/gettyimages
「価格破壊」――。一時期、日本のあらゆる産業を襲った荒波である。スーパー、飲食店、衣類、そしてメガネにまで。限界に近い価格競争を仕掛けた会社の多くは、結局長くはもたなかった。
だが、そんな中でもしっかり生き残り、業界の革命児となり得た会社も存在する。スーパーではトライアル、外食ではサイゼリヤ、衣類ではユニクロ、そしてメガネではJINS。これらの会社には、共通することがある。(やさしいビジネススクール学長 中川功一)
JINS創業者が答えられなかった
柳井正の質問
24歳の田中仁氏は、勤めていた信用金庫を辞め、1987年に有限会社「ジェイアイエヌ」を設立する。
さまざまな商材にチャレンジしていく中で、田中氏はメガネに勝機を見いだした。従来の眼鏡とは全くことなる「価格破壊」を武器にジェイアイエヌは順調に成長し、ついには2007年、上場を果たすことになる。
話はその翌年、2008年のことである。同社が仕掛けた新業態の大規模展開が失敗に終わり、加えてその年後半にはリーマンショックが起こったことで最終赤字に転落、突如として存続の危機に陥ってしまった。
NIKKEIリスキリングの《株価41円 その日、JINSに刺さった柳井正氏の一言》(2016年7月14日配信)によれば、どうしてよいか悩んでいたとき、たまたま外資系証券会社のアナリストから「一度、柳井さんに会ってみませんか」と勧められた。ファーストリテイリング会長の柳井正氏である。
話はとんとん拍子に進み、翌日にはアポイントを取ることができた。
田中氏は柳井氏とのこの出会いを、自分のキャリアでの最も大きな出来事とし、「それは忘れもしない12月24日の午後3時」と、その日を述懐する。







