
情報が多様化する昨今、「子育ての正解がわからない」と悩む人が増えている。これまで1万人以上の子育ての悩みを聞いてきたモンテッソーリ教師が、詰め込みすぎの子育てから解放され、自信をもって子育てできるようになる「子育ての引き算」の方法を教える。本稿は、モンテッソーリ教師あきえ『詰め込みすぎの毎日が変わる!子育ての「引き算」』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の一部を抜粋・編集したものです。
「ちゃんと育てなきゃ」で
親の“否定的感情”が増加
現代は他人との比較が容易にでき、情報が多く、価値観が多様化している時代です。そのような中での子育てにおいて、何が正解かわからないと感じることは、ありませんか?
子育ては、誰もが最初は右も左もわからないままスタートします。1人目のときはもちろん、2人目、3人目とお子さんが増えても“その子”の子育ては初めてですし、何より「2人育児」「3人育児」はそのときからスタートするため、また新たな悩みや迷いが生じますよね。何が正解なのか、どうするべきなのか。いろいろなことがわからないままスタートするから、悩んだり、迷ったりすることがあるのはいたって自然なことです。
さらに、不安やプレッシャーから、スポーツや知育など、子どものために習い事を詰め込みすぎてしまうという人もいるのではないでしょうか?
「ちゃんと育てなきゃ」
「一度きりの子育てだから後悔したくない」
「どんな教育を受けさせるのが正解なんだろう」
「このかかわり方で正解なのかな」
「習い事はいつから始めたらいいんだろう?」
「仕事との両立は?」
「生きる力ってどう身につけたらいい?」
「将来のために、できることを最大限しなくちゃ」
このような不安やプレッシャーを感じている方もいらっしゃるかもしれません。
4000名を対象に1995年から2022年の27年間の子どもの生活や親の子育てに対する実態の変化を調査したものがあります(ベネッセ教育研究所「幼児の生活」第6回)。
実際にそこでは、
「自分の子どもは結構うまく育っていると思う」
「子どもを育てるのは楽しくて幸せなことだと思う」
などの「肯定的な感情」は減少している一方で、
「子どものことでどうしたらよいかわからなくなる」
「子どもがわずらわしくていらいらしてしまう」
などの「否定的な感情」が増加していることがわかりました。
「子どもの育ち」「発達」
そのゴールはどこ?
このように「育児肯定感(育児できている、大丈夫という感情)」がもてない一方で、育児不安が高まっている現状は、大人にとっても子どもにとっても苦しい状態といえるでしょう。
みなさんは日々の子育てをする中で、「子どもの育ち」や「発達」という言葉をよく耳にするのではないでしょうか。