笑顔の親子写真はイメージです Photo:PIXTA

子どもに話しかけられても「はいはい、わかったわかった」とまともに取り合わない、先回りして子どもを手助けしてしまう、ついつい命令口調になってしまう…。親がやりがちな「子どもの自立・自律の妨げ」となるNG行動をモンテッソーリ教師がアドバイス。子育てにおいて大切な「子育ての引き算」の方法とは。本稿は、モンテッソーリ教師あきえ『詰め込みすぎの毎日が変わる!子育ての「引き算」』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の一部を抜粋・編集したものです。

子どもが願っている
大人の“手伝い方”

 子どもは「自立」「自律」という目標に向けて、日々自分を成長させています。その道のりは決して短くなく、24年かかるものでした(編集部注/脳の司令塔とも呼ばれる前頭前野は、成熟するのに時間がかかり、25歳前後だと言われている。そのため、人間としての自立・自律を成し遂げるのにも同じくらいの時間がかかると筆者は指摘している)。

 そんな道のりの最初の段階、0~6歳の乳幼児期に子どもが願っていることがあります。

 それは、「自分でできるように手伝って」という願いです。

 これは、“大人に”やってもらいたいということではありません。

 子どもが“自分で”できるように、“手伝って”ほしいのです。

×大人がやってあげる
○子どもが自分でできるように大人が手伝う

 この2つの違いは、意識しないと微々たる差のように感じますが、子どもの自立・自律を考えると、この2つの間には川が流れているくらい大きな差があると私は感じています。

 子どもがこのような願いをもって自立・自律に向かうことを、私たち大人は一体どう考え、何をしていくことができるのでしょうか。

 それらを理解するためにも、次は、引き算をするために大切にしたい4つの考え方について見ていきましょう。

1子どもの「自ら育つ力」を信じる
2下に見るのではなく、対等に捉える
3子どもの視点で「今」を考える
4点での結果ではなく、長期目線を大切に

自立・自律を発達させる
「自ら育つ力」とは?

 1つ目は、「子どもの“自ら育つ力”を信じる」です。子どもは環境から学び、自分を自立・自律の方向に向かって発達させる力をもっています。その力を信じるということです。

 赤ちゃんは誕生時、「人間」として生まれてきますよね。

 しかし、まだ歩くこともできなければ、言葉で自分の意志を伝えることもできない。とても未熟な状態です。