しかし、やって良いこと、やってはいけないことという善悪や社会のマナーなどを学びながら、徐々に感情や行動をコントロールすることができるようになっていきます。お友達が使っているおもちゃを使いたいと思ったときに、今までだったら欲求のままに奪っていた子が、やがて「かして」と言えるようになったり、待ったりすることができるようになるのもまさに「自律」です。
人間らしく幸せに生きていくためには、自分の感情や欲求をコントロールすることが欠かせません。たとえば、おいしいからとケーキだけを食べていたら健康に悪影響が出ますし、気持ちがのらないからと勉強や仕事を一切しなかったら生活が困難になることもあります。
子育ては24年かかる!?
「じりつ」までの時間
さて、「子どもは一体どこに向かって発達しているのか」ということを見てきました。そのゴールは、「自立」と「自律」でしたね。子どもは日々そのゴールに向かっていっています。
では、一体それはいつまで続くのでしょうか?人間は生きている間ずっと発達を遂げていくのですが、あくまでも「自立」「自律」を成し遂げるのは「○歳」であるとモンテッソーリ教育で言われています。さて、何歳で自立・自律を成し遂げると思いますか?
答えは、24歳です。

モンテッソーリ教師あきえ 著
「24年もかかるの?」と感じた方もいらっしゃるかもしれませんし、「意外と短いんだ」と感じた方もいらっしゃるかもしれません。
筆者は子育ては「長期の挑戦」と「長い」ものであるということをお伝えしてきました。その長期とは24年なのです。
これは人間たらしめている部分の脳の成長スピードが関係しています。脳の司令塔とも呼ばれる前頭前野という部位は、成熟するのに時間がかかり、25歳前後だと言われています。そのため、人間としての自立・自律を成し遂げるのにも同じくらいの時間がかかるのです。
その自立・自律までの長い道のりを私たちはサポートしていく。それこそが「子育て」といえるでしょう。