自民党の麻生太郎副総裁自民党の麻生太郎副総裁 Photo:Chris Jackson/gettyimages

旧制時代も含めて
4人の首相を輩出

 東京都の豊島区目白にある。男子のみの6年制中高一貫教育が行われている。戦前は華族子弟のための宮内省管轄の国立旧制中学校だったが、戦後の学制改革で、一般の私立学校となった。

 学習院高等科は、旧制時代の中等科卒、新制になってからの高等科卒を含め計4人の内閣総理大臣(首相)を輩出している。4人というのは全国の高校の中で最多だ。

 五摂家近衛家の第30代当主で太平洋戦争の開戦前夜に首相を務めた近衛文麿(34、38、39代。1937年6月~39年1月、40年7月~41年10月)と、憲政史上唯一の皇族内閣を組閣した東久邇宮稔彦(ひがしくにのみや・なるひこ、43代、45年8月~10月)の2人が旧制学習院中等科卒だ。

 近衛文麿の孫で日本新党を結成して第79代首相になった細川護熙(93年8月~94年4月)、それに自民党政権下で92代首相を務めた麻生太郎(2008年9月~09年9月、現自民党副総裁)の2人が新制の高等科卒だ。

 広く見ると、学習院で学んだことがある首相経験者は、他にもいる。麻生の祖父である吉田茂も首相を務めている(45、48~51代)が、東京・私立正則尋常中学(現正則高校)卒業後に19歳で旧制学習院高等科で学んでいる。

 40代首相の東条英機も旧制学習院初等科に通っていたが、東京府城北尋常中学(後の府立四中・現都立戸山高校)の卒業だ。

 84代の小渕恵三と93代の鳩山由紀夫も首相経験者であるが、2人とも新制学習院中等科、つまり「中学校」卒だ。小渕が都立北高校(現都立飛鳥高校)、鳩山が都立小石川高校(現小石川中等教育学校)に進学し、卒業している。旧制・新制を通じた「旧制中等科・新制高等科卒」というくくり方では結局、首相を経験したOBは近衛、東久邇宮、細川、麻生の4人ということになる。

 なお、首相を2人輩出した高校としては、山口県立山口高校(旧制山口中学卒の岸信介と佐藤栄作)、群馬県立高崎高校(旧制高崎中学卒の福田赳夫と中曽根康弘)、島根県立松江北高校(旧制松江中に通った若槻礼次郎と竹下登)、東京・私立麻布高校(橋本龍太郎と福田康夫)の例がある。