中学受験で最も大切になる「志望校選び」と「過去問対策」の方法について、大人気プロ家庭教師の安浪京子先生が詳細に説明した『中学受験 大逆転の志望校選びと過去問対策 令和最新版』は、すべての受験生必携ともいえる本です。本稿では、本書の刊行を記念して開催した著者・安浪京子先生と算数オリンピック入賞者多数輩出で有名な「りんご塾」塾長の田邉亨氏との「算数力アップ」対談から、抜粋して子どもの能力を伸ばすコツを紹介します。

【安浪京子×田邉亨 算数のカリスマ教師2人が警鐘!】「スマホ」をめぐる親子バトルを防ぐ唯一の方法Photo: Adobe Stock

子どもがスマホばっかり触っている…という悩み

田邉亨(以下、田邉):実はうちの塾(りんご塾)には、「子どもがスマホやタブレットばかり触ってて困る」という相談はあまりないんです。もともとうちは低学年向けの塾ですからね。タブレット学習がダメとは言いませんが「紙と鉛筆にはこだわってます」といつもお伝えしています。入試が紙と鉛筆でやっている限り、紙と鉛筆を持った時に最高のパフォーマンスが出せるような状態にするべきですからね。

安浪京子(以下、安浪):私のほうは「オンライン相談会」などでも非常によく相談されるお悩みです。「6年生の秋でもスマホやタブレットでyoutubeを見ていて時間を守らない」とかね。でも「そもそも論」として、スマホやタブレットを与えなければそんな悩みは出ないわけですからね。

田邉:スマホやタブレットの功罪ってありますね。

安浪:タブレット学習のほうが効果が出るような特性を持っている子ももちろんいるとは思います。あと、タブレット学習は、理科の実験や社会などの教科で動画などで見たほうがわかりやすいものには最適だと思いますよ。

たとえば、立体の空間認知ですが、紙という平面上で3次元を頭でイメージするのは難しいじゃないですか。そんな場合に、今、いろんなアプリでぐるっと回転させてとか、立体切断を見せたりとか、そういうこともタブレットではできますが、あれは田邉先生はどう思われますか?

田邉:悪くはないけど、その前段階として、「具体物」を手で触ってみた後でしょうね。まず先に絶対、具体物を触るという経験が必要だと思います。

安浪:今は生まれた時からスマホに触れている子が多いですから仕方ないところもありますが、難しいですよね。よく「ルールを作って、ルールを破ったらペナルティを作りましょう」とかって言葉では言いますが、多くのご家庭を見ていると大体できてないんです。親が負けちゃうんです。取り上げたら暴れるとかで、子どものほうが強いですからね。

そういうバトルを生じさせたくなかったら「最初から与えなけりゃいい」の一言です。電車の中で、制服着た中学生がずっとゲームやってる姿を目にすると思いますが、本来は登下校中のスマホは禁止してる学校が多いんです。でも、守るわけがないですよね。

――「スマホは買わない」と親が言ったら、友達と情報共有できないから仲間外れになるとか子どもが言って、そこでまたバトルになったりしませんか?

安浪:「スマホがないと繋がれない友達は、友達じゃないよ」の一言ですね。もしスマホが家になかったら、別のアナログなもの、図鑑を見たり、何か工作したりという時間もとれるかもしれないのに、その時間をスマホが全部奪っていきます。それがデジタルデバイスの恐ろしいところ。ルールを作っても現実的には守らせるのは難しいと思ってください。スマホを与えるなら、そういった覚悟が必要ですね。

*本記事は、『中学受験 大逆転の志望校選びと過去問対策 令和最新版』(ダイヤモンド社刊)の著者・安浪京子先生と『10年連続、算数オリンピック入賞者を出した塾長が教える 「算数力」は小3までに育てなさい』(ダイヤモンド社刊)の著者・田邉亨先生との対談から抜粋・編集したものです。