「難関疲れ」が顕著にうかがえる2月1日
図1をご覧になって、どのような感想をお持ちになっただろうか。2月1日午前、男子受験生の半分はA・Bランクの難関・上位校を受験しているが、女子の場合は3分の1程度で、それだけ中堅・中位校の受験者層が多くを占めていることがうかがえる。受験者数が男子校の開成のように1000人を超えるものはなく、最多の女子学院でも600人台半ば程度である。
ここに挙げた12校中、2021年以降Aランクは6校で、男子同様、共学校は渋谷教育学園渋谷(渋渋)と早稲田大学系属早稲田実業学校(早実)だった。24年からBランクとなったフェリス女学院と入れ替わる形で広尾学園[1回]([ ]内は入試名。以下同)が25年にランクアップした。他にBランクの女子校としては吉祥女子、鴎友学園女子、頌栄女子学院の初回入試がある。男子に比べてランク間の移動が少なく、安定しているのも女子受験生の特徴といえる。これに25年に新設された東京農業大学第一[1回]が加わった。
先述したように、21年・22年入試は新型コロナ禍の最中に行われた。この日程のA・Bランク受験者数合計を見ると、20年4450人から21年4342人と減ったが、22年は4463人と20年を超えている。その後、23年4406人、24年4214人と「難関疲れ」を示すようになり、25年は新設された東京農業大学第一[1回]の134人が加わっても合計4221人と微増にとどまっている。
12校のうち、5校はこの入試回だけ募集をする学校であり、そこには東京女子御三家が含まれている。「古風」の代表的存在である女子学院が年々減少傾向にあることが気になる。東大合格者数を2ケタに乗せて勢いに乗った洗足学園[1回]が20年から減少傾向を続けている背景には、その高倍率があるのだろう。22年3.48倍、23年3.19倍だったが、24年は2.96倍と3倍を割り、25年には2.57倍まで緩和した。26年は再び上昇するのだろうか。
一方で、22年・23年・24年の3.92倍から、人気上昇の25年に4.4倍となった早実の勢いが衰えない。25年4.52倍の広尾学園や4.28倍の渋渋、新設された東京農業大学第一3.94倍と、女子にとって高倍率でも共学校は“別腹”なのかもしれない。
都心部に集まっている東京女子御三家ではあるが、前回も触れた私鉄と地下鉄各社各路線間の相互乗り入れの拡大やJR東日本の湘南新宿ラインと上野東京ラインの開通による直通性の飛躍的な高まりは、女子受験生にも影響を与えている。
図1に倍率は載せていないが、25年(24年)の女子各校は以下のような状況となった。女子学院2.32(2.27)倍、桜蔭1.79(1.97)倍、雙葉2.93(2.9)倍、洗足学園2.57(2.96)倍、フェリス女学院2.02(2.02)倍、吉祥女子2.88(3.05)倍、鴎友学園女子2.65(2.53)倍、頌栄女子学院2.02(2.08)倍、総じて緩和傾向にある。中でも、入試問題が一段と難しくなった感もある桜蔭の倍率低下は「難問疲れ」といえるかもしれない。