アメリカでベストセラーとなり、多くの絶賛の声を集めた『Master of Change 変わりつづける人:最新研究が実証する最強の生存戦略』がついに日本に上陸した。著者のブラッド・スタルバーグはマッキンゼー出身で、ウェルビーイング研究の第一人者。この本が指摘するのは、人生を消耗させる「思考の癖」だ。本稿では本書の内容をベースに、「すぐに諦めてしまう人に共通する思考のパターン」を紹介する。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局)

すぐに諦めてしまう人に特徴的な1つの思考パターン
自己効力感とは、困難のさなかでも、自分は現実と向き合って意図的な行動を取れるはずだという、実体験に基づいた信念から生まれる確かな自信のことだ。
過去数十年の研究結果からも、自己効力感が高い人のほうが過渡期や混乱期をうまく切り抜けることがわかっている。
──『Master of Change 変わりつづける人:最新研究が実証する最強の生存戦略』より
何かに挑戦してもうまくいかないと、すぐに諦めてしまう人がいる。その背後には、特定の思考パターンが影響していることが多いと指摘するのは、マッキンゼー出身でウェルビーイング研究の第一人者であるブラッド・スタルバーグだ。
彼らに共通するのは、「自分にはできない」と決めつける傾向が強いこと。つまり、自己効力感が低い状態だ。
自己効力感が低ければ、困難に直面した際に、「自分にできることなんてたかが知れているから、やることに意味はない」と主体性を放棄してしまう。
自己効力感の低い人の思考パターンにはいくつか特徴があるようだが、スタルバーグが強調する1つの特徴は「現実的ではない期待」だ。
自己効力感の低い人ほど、「完璧にできなければ意味がない」と考え、少しでもうまくいかないと「もう無理だ」と諦めてしまう。
実際には、何か新しいことに挑戦するには試行錯誤が不可欠であり、初めからうまくできる人はいない。それにもかかわらず、彼らは「完璧な成功」以外はすべて失敗だと解釈してしまうのだ。
完璧主義を捨てる
問題は、自身が取ろうとしているアプローチを疑問視してしまうことだ。分析しすぎてどうしていいかわからなくなったり、疑念が生じて動けなくなったりしがちだ。
こうしたさまざまな摩擦を防ぐには、実験だと思って行動するといいだろう。意図的に行動する限り、その瞬間の自分の決定は正しくも間違ってもいないと考えよう。
──『Master of Change 変わりつづける人:最新研究が実証する最強の生存戦略』より
スタルバーグは、本書の中で「実験だと思って小さな行動を取る」ことを推奨している。人は行動を起こすと、ドーパミンが分泌され、気分が良くなるからだ。
たとえ、ひるんでしまうような大きなストレスがかかる状況であっても、行動することで、やり続けようという意欲が湧いてくる。人間には、何か行動を起こすことで、次の行動を取りやすくなるという性質があるのだ。
実験だと思って1つの行動を取った結果、それがうまくいかなければ、また別の選択をすればいい。それこそが、あきらめずに主体的に行動しつづける秘訣だと、本書は教えてくれる。
※本稿は『Master of Change 変わりつづける人:最新研究が実証する最強の生存戦略』の内容を一部抜粋・編集したものです。