窃盗犯写真はイメージです Photo:PIXTA

外国人窃盗団は何をどんな目的で盗むのか。窃盗団を追い続けている専門家が、巧妙な手口の全貌を明かします。ほとんど知られていない、検挙の実態も併せて紹介。トクリュウや闇バイトによる人命軽視の犯罪が横行し始めている中で、外国人窃盗団による犯行の未来絵図を予測します。(エス・ピー・ネットワーク警備課エキスパート 佐藤宗平)

クルマ泥棒、住宅侵入、万引き…
「外国人窃盗団」が増えている

「外国人窃盗団」が社会問題になっている。クルマ泥棒、住宅に忍び込む侵入犯、倉庫や閉店後の店内に入る出店荒らし、農作物や家畜を狙った窃盗、小売店での万引き……。いずれも外国人窃盗団が関与する事件が増えている。

 警察白書によると、外国人窃盗団はベトナム国籍の集団が多く占めることが分かっている(図表4-15参照)。日本政府は積極的にベトナム人を技能実習生として受け入れており、現在、国内のベトナム人労働者の人数は約60万人といわれる。

図表4-15『令和6年警察白書』より抜粋 拡大画像表示

 このようなベトナム人技能実習生の中には、職場から失踪する人もいる。「技能実習生の失踪者の状況(推移)」(出入国在留管理庁)によると、2019年に6105人、22年は6016人、23年には5481人のベトナム人技術実習生が失踪している。他国から来た技術実習生と比べると、突出している(下図参照)。

 来日外国人犯罪の検挙件数(侵入窃盗と万引き)でベトナム人が多く占めている現状は、失踪したベトナム人がコミュニティを作り、集団で犯罪を行うようになり、外国人窃盗団が形成されていったからと考えられている。

 この記事では、外国人窃盗団は何をどんな目的で盗むのか、巧妙な手口の全貌を明かす。また、ほとんど知られていない、検挙の実態も併せて紹介する。最近、匿名流動型犯罪グループ(いわゆるトクリュウ)による強盗・強盗殺人・致傷事件が続発し、闇バイトによる人命軽視の犯罪が横行している。各種データを読み解くと今後、外国人窃盗団による犯行が、凶悪化する可能性は否めない。