ダイハツ「タフト」。鳥取・北栄町の海岸にてダイハツ「タフト」。鳥取・北栄町の海岸にて Photo by Koichiro Imoto

ダイハツの軽クロスオーバーSUV「タフト」を東京~鹿児島で3600km試乗した。居住感やリーズナブルな価格設定は良いが、運転支援システムは使い物にならないくらい精度が低かった。気になる燃費、日産&三菱やホンダのエンジンと比べた走り心地など、徹底的にレビューする。(ジャーナリスト 井元康一郎)

ダイハツ軽SUV「タフト」の
運転支援システムが酷かった!

 ダイハツ工業の「タフト」はロングドライブをおおむね楽しくこなせた一方、「こりゃダメだ」と言わざるを得なかったのが運転支援システム「スマートアシスト」である。あまりの酷さに調整不足を疑ったが、試乗車の走行距離が出発時1300kmだったことを踏まえると免罪は難しい。

 筆者が体験した事実を述べると、難があったのはADASの中で最も使用頻度が高いと思われる高速道路や、自動車専用道路での前車追従クルーズコントロールだ。新東名のように直線、ごく緩いカーブで構成され、車線が広く舗装面もおおむね平滑なルートを先行車がいない状態で走行しているときはスムーズだった。

 ところが、先行車が登場すると状況は一変。先行車の速度が落ちると、かなり車間が詰まってから急にブレーキがかかり、先行車が再加速する頃にはかなり速度が落ちているので慌てて加速、追い付き気味になると再びブレーキといった具合で、安定性を著しく欠いていた。

 車線の狭い高速道路や対面通行の暫定開業路線では、ほとんど役に立たなかった。隣の車線のクルマを先行車と誤認してブレーキをかけるのは朝飯前で、路盤の老朽化で大きめのうねりができているような箇所では、単独で走っていてもブレーキがかかったりした。レーンキープアシストも誤認が多く、信頼性は低かった。

 渋滞時の前車追従機能は、危険を感じるほどではないものの制御がヘタクソ。先行車が停止したとき、車間が大きく開いた状態で一旦停止し、シャクトリムシのように再加速して先行車ににじり寄っていた。アイドリングストップも上手く機能しなかった。渋滞路の先行車追従は、ダイハツの普通車「トール」も似たような傾向を示したことがある。セッティングのレベルアップが望まれるところだ。