そりゃトランプもブチギレるわ…通訳なしでしくじった「ゼレンスキー英会話」の不適切表現3選向かって右からバンス副大統領、トランプ大統領、ゼレンスキー大統領 Photo:The Washington Post/gettyimages

米ウ首脳の会談で気になったのは、ゼレンスキー大統領の英語表現について、米国内の英語ネイティブ話者からすると「けんかを売られた」と感じるであろう発言が散見されたことです。会談が失敗に終わったポイントを、英語コーチングスクール経営の専門家が解説します。(トライズ 三木雄信)

トランプとゼレンスキーが大げんか!
原因は?英語表現を見てみよう

 トランプ米大統領とウクライナのゼレンスキー大統領の会談は衝撃的なものでした。ウクライナへの軍事支援やロシアとの停戦交渉の方針について、両者の意見は食い違い、感情的なやり取りが全世界に公開されてしまいました。

 2人が大げんかした要因は何だったのでしょうか?筆者が気になったのは、ゼレンスキー氏の英語表現について。米国内の英語ネイティブ話者から見れば、「けんかを売られた」と感じても仕方がない発言が散見されたことです。

 険悪なムードになり始めたのは、会談開始から約40分が経過したころでした。トランプ氏の横に座るバンス米副大統領が、こう発言しました(下記は意訳)。

「米国には4年間、(ロシアの)プーチン氏に強硬な発言をする大統領がいた。そして、プーチン氏はウクライナに侵攻し、多くの地域を破壊した。平和と繁栄への道とは、外交に関与することだ。まさにトランプ氏が行っていることだ」

 この発言は、バンス氏がトランプ氏を“立てる”ものでした。もし、これにゼレンスキー氏も同調していれば、その後の展開は大きく違っていたはずです。しかし、ゼレンスキー氏には、トランプ陣営がまるでプーチン氏に肩入れしているように聞こえたのでしょう。

 そこでゼレンスキー氏は、バンス氏に、こう問いかけました。

“What kind of diplomacy, J.D., you are speaking about? What do you mean?”
「どのような種類の外交ですか?J.D.(バンス氏のファーストネームとミドルネームの略)。あなたは何について話をしていますか?どういう意味です?」

 この表現が、実に挑発的な印象を与えました。特に、What do you mean?という言い回しは、相手の意図を疑問視し、論争するような響きを持っています。

 本来は、もう少し柔らかい表現を選ぶことが望ましかったでしょう。例えば、

“Could you clarify what kind of diplomacy you are referring to?”
「どのような外交を指しているのか、説明していただけますか?」

と話せば、ていねいな印象を与えることができます。