いつも嫌なことが頭の中をぐるぐる巡ったり、「あの人のことを考えると不安やイライラが止まらない」と感じることはないだろうか。そんなとき、まず大切なのは、問題を解決しようとする前に、一度「ストレスをリセット」することだ。『瞬間ストレスリセット――科学的に「脳がラクになる」75の方法』(ジェニファー・L・タイツ著、久山葉子訳)では、ストレスを抱えやすい人のために、科学的に実証された気分転換の方法を多数紹介している。本書は単なる事後対処にとどまらず、そもそもストレスを寄せつけない体質をつくる方法についても解説。ベストセラー『エッセンシャル思考』の著者グレッグ・マキューンも「この本は、人生の本質的でない混乱から抜け出したいと願うすべての人にとって、必読の救いの書である」と絶賛。今回は発売を記念して、特別に本書の内容を一部抜粋、再編集してお届けする。

「感謝の気持ち」がうつのリスクを下げる
「感謝の気持ちがある人」ほど、社会や周りの人から支援してもらっていると感じやすく、それによってストレスが和らぎ、うつのリスクも下がることが研究でもわかっている。
「良い点を探す習慣」は、身体の健康にもつながる。
研究でも、感謝の気持ちを持つことで血圧や睡眠の質が改善されることが確認されている。
しかも嬉しいことに、効果があるのは本人だけではない。
仕事を一緒にしている人などに感謝の気持ちを表すことで、相手のストレスマーカーも低下することがわかっている。
次の方法を試してみよう。
▼毎日数分間、小さなことでも大きなことでもかまわないので感謝していることを3~5つ書き出す(日記帳に書く、感謝アプリを使うなど)。
▼感謝している相手を思い浮かべ、連絡して感謝の気持ちを伝える。
▼運動、洗濯、スーパーに買い出しに行く、家族に電話するなど、ふだんなら面倒だと思うようなことを1つ選び、そこに感謝の気持ちを込めて視点を変える(食べ物を家に持って帰れるのはありがたい、など)。感謝する対象は毎日あるいは毎週変えてもいい。「やらなければならないリスト(ToDoリスト)」を「できることリスト」に名前を変える。
▼ペンと紙を用意して、次のテーマで1つにつき2~3段落の文章を書く。文章には必ず起・承・結をつける。
・うまくいったこととその理由
・感謝していること
・最近自分の強みを活かせたときのこと
・目標に向けての進歩
・大小問わず、誰かが自分のためにしてくれたこと
人は「ネガティブな気持ち」に流されやすい生き物
「ネガティビティ・バイアス」といって、人間はネガティブな感情が高まると、それがポジティブな経験を覆い隠すようにプログラムされている。
進化の観点から考えると、脅威に対して敏感なほうがもちろん有利だ。
しかし、この傾向によって、自分の人生や自分自身に対して否定的になりすぎることがある。
そのため、意図的に「良いことを探す習慣」をつけることが大切だ。
そこで役立つのが「感謝の気持ち」だ。
研究によると、1日5~15分感謝していることを書く習慣を持つだけで、ストレスや悲しみが軽減することがわかっている。
これは「ポジティブ・アフェクト・ジャーナリング」として知られ、健康に問題を抱えている人に対しても効果があるとされている。
定期的に行うことで、気分だけでなく将来の見通しや人間関係も改善され、利他的で謙虚になれるのだ。
※『瞬間ストレスリセット』は、短時間でストレスを解消するための実践的な方法を多数紹介する一冊。その場しのぎではなく、ストレスに強くなるための習慣や対策(ストレス耐性を高める方法)も幅広く取り上げています。