いつも嫌なことが頭の中をぐるぐる巡ったり、「あの人のことを考えると不安やイライラが止まらない」と感じることはないだろうか。そんなとき、まず大切なのは、問題を解決しようとする前に、一度「ストレスをリセット」することだ。『瞬間ストレスリセット――科学的に「脳がラクになる」75の方法』(ジェニファー・L・タイツ著、久山葉子訳)では、ストレスを抱えやすい人のために、科学的に実証された気分転換の方法を多数紹介している。本書は単なる事後対処にとどまらず、そもそもストレスを寄せつけない体質をつくる方法についても解説。ベストセラー『エッセンシャル思考』の著者グレッグ・マキューンも「この本は、人生の本質的でない混乱から抜け出したいと願うすべての人にとって、必読の救いの書である」と絶賛。今回は発売を記念して、特別に本書の内容を一部抜粋、再編集してお届けする。

「ネガティブな思い込み」に苦しんでいませんか?
今はもうちがうのに、昔のネガティブな信念を手放せないことがある。
これは「コアビリーフ」といって、育ちやネガティブな経験によって植えつけられたケースが多い。
そのせいで、自分にはポジティブな経験や交流をする価値などない、と思い込んでしまっていることがあるのだ(相手が褒めてくれても「自分は不誠実な人間だ」「見当ちがいだ」と思うなど)。
あるいはネガティブな信念を活性化させるような状況下で、強い苦痛を感じることはないだろうか?
たとえば、子どもの頃に批判ばかりされたせいで「自分はダメなやつだ」という思い込みがあるとしたら、何か失敗を犯したときになかなかショックから立ち直れないかもしれない。
小さな失敗が「それ以上のもの」を象徴するからだ。
自分の中の「心のクセ」に気づくと、「不必要な痛み」から抜け出せる
「コアビリーフ(中核信念)」は、認知療法の開発者である精神科医アーロン・ベック氏が提唱した概念だ。自分の中のコアビリーフに気づくことで、自分自身や人生を客観的に見られるようになる。
多くの場合はコアビリーフがすでにその人の一部になってしまっていて、それに支配されていることにも気づかないし、変えられるとも思っていない。
しかし、どんなコアビリーフが自分の足を引っ張っているのか、苦痛をもたらしているのか(「私なんてどうせ誰からも愛されない」「他人は信頼できない」 など)を特定し、それとは「逆の行動」をとることで、不必要な感情の痛みから解放されるのだ。
「自分はどうせうまくいかない」と思ってしまう人が抱える「3つの罠」とは?
ペンシルベニア大学の教授でポジティブ心理学センターの所長マーティン・セリグマン博士が、物事を客観的に捉える簡単な方法として「挫折に直面したら3つのPに陥っていないかを観察する」ことを勧めている。
「3つのP」とは、Pervasive(汎化的)、Permanent(永続的)、Personal(個人的) に捉えてしまう思考のことを指す。
たとえば、友人が主催したイベントに招待されなかったらこのように思い込むかもしれない。
「私はいつも忘れられる(汎化的)。
これからもずっとそうだろう(永続的)。
誰も私のことを好きではないようだから(個人的)。
こういうストーリーをつくり上げてしまうと、「自分だけパーティーに招待されなかった」と落ち込むだけではすまなくなる。