
【シンガポール】中国飲料チェーン大手、蜜雪氷城(Mixue、ミーシュエ)は1ドル(約150円)未満のアイスクリームや甘いドリンクを販売している。看板キャラクターはスノーマンとミシュランマンの子どものような姿で、店内には「おおスザンナ」のメロディーに乗せた宣伝文句が絶え間なく流れる。
このレシピに従い、急成長したミーシュエは、店舗数で米ファストフードチェーン大手 マクドナルド や米コーヒーチェーン大手 スターバックス を抜き、世界最大の飲食チェーンとなった。
同社はアジア全域とオーストラリアにチェーンを展開している。調査会社テクノミックによると、3年間で店舗数を2倍余りに増やし、昨年末時点で4万5000店を突破した。
同社は3日に香港市場で新規株式公開(IPO)を行い、4億ドル余りを調達した。3日の終値はIPO価格を43%上回る水準だった。時価総額は100億ドル超となった。
今後も拡大基調は続く見通しだ。ミーシュエはIPO目論見書で、既存店舗が新規出店で共食い状態となるリスクを認めつつも、成長を続ける計画だと述べた。
ミーシュエは6元(約123円)という低価格でタピオカティーなどの飲料やアイスクリームを提供し、 景気低迷に苦しむ中国消費者 の心をつかんでいる。住宅市場の崩壊など諸問題に直面する中国では支出が減少傾向にある。
「人々はコストパフォーマンスの優れた商品を求めている」。龍洲経訊(ガベカル・ドラゴノミクス)の北京在勤アナリスト、エルナン・クイ氏はこう指摘。同氏によると、ミーシュエは小規模な都市に出店攻勢をかけることで人気を得ている。
ミーシュエは1997年創業。張紅超(チャン・ホンチャオ)氏が中国・河南省でかき氷店を開いたのが始まりだ。