東京・原宿の神宮前交差点から表参道方面に向かう神宮前6丁目エリアの一角(ダイヤモンド社のすぐ近くでもある)。ここは2019~2020年頃、貢茶(ゴンチャ)、CoCo都可(ココトカ)、THE ALLEY(ジ・アレイ)、台湾甜商店など、タピオカティーの有名チェーン店が何軒も立ち並ぶ“タピオカ激戦区”だったが、コロナ禍の3~4年の間にこれらの店はほぼすべて閉店した。ところが今年8月下旬、死屍累々だったこの地に、あるタピオカティーショップがオープン。アジアで大人気、店舗数で世界5位の中国発激安チェーン「MIXUE」が日本に上陸したのである。(中国・ASEAN専門ジャーナリスト 舛友雄大)
知らないのは日本人だけ?アジアで店舗数2万5000店以上
激安タピオカティーチェーン「MIXUE」
中国発の世界的なタピオカティーチェーン「MIXUE(ミーシュー、蜜雪氷城)をまだ知らないのは、もはや日本人くらいかもしれない。
8月下旬、当初の予定から4カ月ほど遅れて、東京・表参道にMIXUE表参道店がオープンした。MIXUEが日本に上陸したのは今年の春。5月に「ららぽーとTOKYO-BAY」に期間限定のポップアップショップが、その後6月末には池袋店がオープン。今のところ日本の店舗はこの2店だが、すでに40件ほどフランチャイズの話が来ており、今月中に大阪に相次いで1号店と2号店を開く予定だという。
MIXUEの特徴はなんといっても価格の安さだ。競合店と比べるとドリンクの値段はほぼ半額。東南アジア各国で大人気となっており、全世界の店舗数はコロナ前の2019年末に約7200店だったのが、今年8月時点で2万5000店超まで急増した。すでに、マクドナルド、サブウェイ、スターバックス、KFCに次ぐ世界第5位の店舗数を誇る飲食店チェーンなのだ。
春にオープンすると聞いてから、はや数カ月。表参道店は建物も看板もできているのに営業する様子が全くなかった。いつオープンするのかずっと気になっていた筆者は、原宿・表参道近辺に来る度にチェックしていたのだが、8月23日にたまたま近くを通った際に、ついにオープンしたことに気付いた。ずっともぬけのからだったお店の看板とMIXUEの雪だるま風のキャラクターが白く点灯しているのが視野に入ったのだ。
表参道店の店長によると、MIXUEは当分の間、在日中国人をターゲット顧客として展開していくとのことだ。「まずは中国人に来てもらおうと思っています。今現在、日本人向けにはどの(メディア)プラットフォームでも発信していません」。流行り出してから、日本人向けの発信をはじめ、中国の最先端のメニューも徐々に投入していく予定とのことだ。
最近、東京では在日中国人をターゲットにした飲食店が急速に増えている。池袋や上野、高田馬場といったエリアがその中心だが、なぜ地価の高い表参道を選んだのだろうか?