
中国のバイヤーは、米政府の輸出規制を迂回(うかい)して米半導体大手 エヌビディア の最新の人工知能(AI)向けチップを発注している。これは、トランプ政権が米国の最先端技術の流出を阻止する上で直面する課題を浮き彫りにしている。
中国国内の取引業者らは、エヌビディアの最新AIチップ「ブラックウェル」を搭載したシステムを近隣地域の第三者経由で販売している。一部の販売業者は6週間以内の納品をバイヤーに約束している。
こうした取引が示すのは、米国が中国による高性能AIプロセッサーの購入を禁止する狙いで導入した規制にもかかわらず、調達は継続しているということだ。米政府は2022年以降、最先端AIの訓練・運用に使われる半導体への中国のアクセスを制限するため輸出規制を課してきたが、規制をかいくぐるブローカーの地下ネットワークが出現している。
技術覇権を巡り中国にどのように対抗するかを模索するトランプ政権にとって、グレーマーケットでの先端半導体取引への対応は大きな課題となる。
中国のテクノロジー拠点である深圳の販売業者、ジェームズ・ルオ氏は、1月に上海の顧客からブラックウェルを搭載したサーバー十数台の注文を受けたと語った。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が確認した取引記録と契約書によると、この注文に関し顧客は約300万ドル(約4億5000万円)をエスクロー口座に入金した。ルオ氏は3月中旬までにサーバーを出荷する予定だと述べた。