税金を取り戻す還付申告は
5年間遡って手続きできる

 では、医療費控除を利用すると、どれくらい税金が戻ってくるのだろうか。年収600万円のAさん(45歳・会社員)で、昨年1年間の医療費の総額が50万円だったケースで見てみよう。

 妻が専業主婦で、15歳の子どもがいるAさんは、年間約6万円の所得税が源泉徴収されている。だが、医療費控除の申告をすると課税所得が引き下げられ、約3万1000円の還付金を受け取ることができる。

※試算条件:Aさん(45歳・会社員・東京都在住)、年収600万円、定額減税6万円。妻は専業主婦、子どもひとり(15歳)。医療費の総額50万円で保険等の補てんなし

 Aさんの場合、確定申告するだけで確実にお金を取り戻せるので、申告しない手はない。だが、忙しくしているうちに、いわゆる申告期限が過ぎてしまったということも考えられる。

 確定申告の申告期限は、毎年2月半ばから3月半ばまでで、2025年は2月17日~3月17日までだ。個人事業主は、この間に確定申告して、税務署に課税所得を報告して、納税手続きを行う義務がある。

 だが、税金を取り戻すための還付申告は、申告事由が発生した翌年の1月1日から5年間は受け付けてもらえる。

 例えば、病気やケガで入院したのが2024年5月だった場合は、25年1月1日~2029年12月31日まで医療費控除の申告できるのだ。確定申告の申告期限内に手続きできなくても、その他の申告がなくて、医療費控除の手続きだけならお金を取り戻すことは可能だ。

 医療費が10万円に届かなくても、昨年1年間に購入した市販薬が1万2000円を超えた場合は、セルフメディケーション税制が利用できる。薬局やドラッグストアなどで、対象の市販薬を購入した場合に利用できる優遇税制で、最高8万8000円の所得控除ができる。こちらも、5年間は受け付けてもらえる。

「3年前に出産したけど、医療費控除の申告をしていない」
「4年前に入院した後に体調が戻らず、医療費控除の申告ができなかった」
「そういえば2年前に体調を崩して、市販薬をたくさん購入していた」

 こんな人は、医療費控除やセルフメディケーション税制で、お金を取り戻せる可能性がある。医療費がたくさんかかったのが5年以内なら、まだ間に合う。諦めずに手続して、払い過ぎた税金はしっかり取り戻そう。