
景気後退(リセッション)への懸念が市場を混乱させている。ハイテク株やダウ工業株30種平均は10日に再び急落した。株価はしばらく割高な水準にあり、これは単なる市場の調整かもしれない。しかし景気減速の兆候も複数出ており、トランプ政権は警戒すべきだ。
トランプ氏が9日、FOXニュースの司会者マリア・バーティロモ氏とのインタビューで、年内のリセッション入りを想定しているかと問われた際に用心深い答えをしたことは、ムードの改善につながらなかった。「そういったことを予想するのは嫌いだ」とトランプ氏は答え、「われわれが行っていることは非常に大きいので、移行期間がある」と述べた。
9日のインタビュー後にリセッションの可能性を否定しようとしなかったことについて聞かれると、トランプ氏は再び回答をためらい、「そのようなことを聞かれれば、誰だって答えをちゅうちょする。誰にも分からない」と語った。同氏がいつになく曖昧な回答をしたことは市場を動揺させた。先週の施政方針演説で述べていた「多少の混乱」が市場に起きても、彼は気にしないのかもしれないとの印象を与えたからだ。数週間の混乱の後、株価はトランプ氏の大統領選勝利後の上昇分を全て失い、さらに下げ幅を拡大した。
トランプ氏は、大統領が短期的な投資家の反応に気を取られて、長期的な成長を促進する経済政策に集中できないようであってはならないと指摘した点で正しかった。しかし、米国の景気が減速していることを示すサインが点滅している。