ポスト・ダウンタウンは誰?

 ダウンタウンが切り開いた道は、特に芸人たちに大きな影響を与え続けている。二人が担っていたポジションが空くことで、複数の可能性が浮上する。

(1) 司会の世代交代が加速する

 ダウンタウンの冠番組、特に二人がMCを務めるトーク番組は、今後どうなるのだろうか。

 具体的には、吉本興業の後輩で人気のある千鳥やかまいたち、霜降り明星といった中堅・若手芸人が、新たなMCとして台頭することが考えられる。ただし、ダウンタウンほどの影響力を持つコンビは現時点では存在せず、複数の芸人が分散してその役割を担う形になるだろう。

(2) バラエティー番組の構造変化

 ダウンタウンの冠番組は、彼らの個性に大きく依存していたため、そのまま存続するのは難しい。一例として『水曜日のダウンタウン』は、企画力が強みの番組ではあるものの、浜田の司会が番組のテンポを決定づけている。今後は、さらにナレーションやVTRに頼った構成に変わる可能性がある。

(3) 配信プラットフォームへのシフトが加速する

 テレビ業界全体が視聴率の低下に悩む中で、YouTubeやNetflix、ABEMAなどの配信サービスが台頭している。ダウンタウンの不在により、テレビバラエティーの衰退が加速する可能性がある。

 松本は昨年末に一部インタビューで、独自プラットフォームの立ち上げを示唆。吉本興業も1月、スポーツ紙の取材に対し、既存のプラットフォームにおける「ダウンタウンチャンネル」立ち上げ検討も含めて「いろんなパターンになります」と回答し、浜田と相談していることも明かしていた。

大阪・関西万博への影響

 ダウンタウンがアンバサダーを務める大阪・関西万博(4月13日開幕)にも影響が及びそうだ。

 松本は昨年の活動休止に伴い、アンバサダーの活動も休止している。現時点で降板の発表はされていない。日本国際博覧会協会は、「(松本の)活動再開が明言された際に対応を考える」としている。

 浜田はアンバサダーに就任し、「大役を仰せつかり、やる気満々です!」などと語っていた。大阪・関西万博はチケットの売れ行きが懸念されている。イベントのPRに力を入れるべきところだが、開幕直前に地元出身のアンバサダーが表舞台から姿を消すことになってしまった。

終わりではなく変革の始まり

 ダウンタウンの休養は、単なる芸能ニュースにとどまらず、テレビ業界全体の転機となる可能性が高い。彼らが築いたお笑い文化は、日本のエンタメ業界において巨大な遺産であり、今後も影響を与え続けるだろう。

 しかし、時代の変化とともに、新たなスタイルのお笑いが求められているのも事実だ。とりわけポスト・ダウンタウンの時代をどう生き抜くかは、数多いるタレント、視聴率低下にあえぐテレビ業界にとって課題となりそうだ。

 ダウンタウン不在の空白を埋めるのは誰なのか。テレビ業界の未来を見守りながら、新たなエンタメの形に期待したい。