「自分も、もっと数字に強ければ…」
日々の買い物や職場で「数字コンプレックス」を感じたことはないだろうか。「算数や数学は大キライ…」「できるだけ見たくない…」中には「数字はもう諦めた」という人もいるだろう。
しかし実は、「数字に強い」は生まれつきの才能ではない。数字に強い人は、無意識のうちに九九などの「頭を使わないラクな計算」を使って、面倒な計算をうまくサボっているのだ。
新刊『「数字がこわい」がなくなる本』は、数字に強い人の脳内を解明した一冊。数字に強い人が無意識にやっている「頭を使わないサボり計算テク」を知れる本書の中から、今回は「数字のとらえ方」について紹介したい。

「数字に強い人」の割り勘計算
日常生活の中で「割り勘」の場面は頻繁にありますよね。友人との飲み会、同僚との食事会、あるいは旅行の費用分担など、様々なシーンで「○○円を△人で割る」という計算が必要になります。
「電卓を使えば一瞬じゃん!」と思うかもしれませんが、それではいつまでたっても数字に強くはなれません。
数字に強い人は、このように面倒な計算に出会ったときにそのまま計算することはしません。代わりに「どうすれば計算をサボれるか?」を可能な限り考えるようにしているのです。
今回は「26,045円を9人で割り勘」というケースを考えてみましょう。
割り勘計算をラクにする3つの方法
まず最初にお伝えしたいのは、「正解は1つではない」ということです。様々な方法がありますが、今回は使いやすいものをいくつか紹介しましょう。
単純に計算すると、26,045÷9=2,893.88...円となりますが、実際の支払いではこのような端数は扱いにくいものです。小銭がたくさん必要ですから。
では、数字に強い人はどのように考えるのでしょうか?いくつか方法をご紹介しましょう。
1. 倍数に丸める方法
一般的な四捨五入では26,000円や30,000円になりますが、これらは9では綺麗に割り切れません。そこで「9の倍数」に丸めるという発想が生まれます。たとえば、26,000円→27,000円にしてみましょう。27,000円なら、1人3,000円とキリよく計算できます。余ったお釣りは、うまく配分したり、次回の飲み会の予算にしてもいいですね。
2. 一旦10人分として計算する方法
26,045円を9人でなく、割りやすい10人分と考えれば、1人あたり約2,605円と簡単に計算できます。しかし実際には9人しかいないため、このやり方では合計で23,445円しか集まらず、約2,600円足りなくなってしまいます。計算は簡単ですが、結果的に不足が生じてしまいますね。
そこで、この2600を9で割りましょう。2600はだいたい2700ですから、9で割ると300円弱です。そうすれば、2600+300で一人当たり2900円もらえば大丈夫そうだとわかります。
3. 役割分担方式
例えば先輩や上司などに多めに払ってもらう時に、支払ってもらう額をうまく調整して、割り勘計算を楽にする方法です。たとえば、上司が10,000円を負担し、残りの16,045円を8人で分ける方法を考えてみましょう。1人あたり約2,006円となるので、全員が2,000円払えば、だいたいよさそうですね。
「数字に強い人」は計算をうまくサボる
数字に弱い人は「正確な答えを出さなければならない」と考え、26,045÷9の計算に固執しがちです。
しかし数字に強い人は、状況に応じた「実用的な解」を求めます。今回も、重要なのは「正確さ」よりも「実用性」なのです。今回は、「3,000円ずつ集めよう!」と最初に考えてしまえば、計算は簡単になりますね。細かいところは、あとで調整すればいいのですから。
このように、数字に強い人は面倒な計算は極力省きます。また、計算が面倒になりそうになったら、できるだけカンタンな計算になるように数字をほどよく調整してしまうのです。
数字に強い人の真の強さは、単なる計算能力ではなく、数字を実生活の文脈に合わせて柔軟に解釈できる能力にあります。
数字に強くなるためには、「数字を扱う前に、まず一歩立ち止まる」。これを心がけてみるとよいでしょう。
(本記事は『「数字がこわい」がなくなる本』に関する書き下ろし原稿です)