なにしろ、訪日観光客数は安倍内閣の時代に急増したが、新型コロナ禍により2020年からの3年間は、最盛期の1割程度にまで落ち込んだ。急成長期にインバウンド対策が遅れたのは仕方ないが、新型コロナ禍の時期には対策を講じる十分な時間があった。にもかかわらず無為に過ごしたのは失政といえるだろう。
一方で京都市は宿泊税の非常識な値上げを決めた。特に1泊10万円以上だと1万円もの宿泊税というのはなんとも印象が悪い。高級ホテルの宿泊客はむしろ歓迎すべき層なのに、不思議な発想だ。
欧州の観光地などで進む
予約制の導入を検討すべき
そもそも外国人観光客の急増により、京都で何が問題になっているのか。
欧州などの観光地における一番の悩みは、住宅がホテルや別荘などに充てられて住宅難になっていることだ。
しかし、京都は人口減に悩み、不動産需要も低迷して空き室も多い。せいぜい、住宅地などに民宿が進出し、近所で不安に思っている人もいるといった程度であり、困った状況にはない。
一方で、京都では特定の観光地が超混雑になったり、外国人観光客が大きなスーツケースを抱えて市バスに乗ってきたりするため、通勤や通学などに不便が生じている。
しかし、特定の観光地の混雑は、スマホを使っての事前予約制の導入でほぼ解決する話だ。すでに世界の人気観光地では、厳格な事前予約制になっている。早い時期からそうだったのは、イタリア・ミラノのサンタ・マリア・デッレ・グラツィエ教会の壁に描かれたレオナルド・ダビンチの「最後の晩餐」で、ミラノに行っても見学できないのが普通だった。スペインのグラナダにあるアルハンブラ宮殿の予約システムも厳密で、団体旅行の案内にも事前予約がなければ「訪問できないことがある」と明記されている。
中国では故宮(紫禁城)が安全上の観点もあり予約制になったが、ついには、巨大な万里の長城すら1日6万5000人に制限するようになった。