トランプ氏の経済発言の揺らぎ、側近も困惑Photo:Bloomberg/gettyimages

【ワシントン】ドナルド・トランプ米大統領の通商政策が一貫性を欠き、経済関連の発言にも揺らぎが見えたため、側近の一部が動揺し、ホワイトハウス内で緊張が高まる事態となっている。共和党議員や企業幹部からも不安の声が出ている。

 スージー・ワイルズ大統領首席補佐官などの政権幹部らは、パニック状態の最高経営責任者(CEO)やロビイストからの電話を受けている。彼らは政府に対し、今後の展開をもっと予測しやすい関税政策を示すことで、不安定な市場を落ち着かせるよう要請していると、協議内容に詳しい複数の関係者は述べた。実業界では、トランプ氏に通商政策の転換を求めることは諦め、代わりに政権に同氏のアプローチを明確にするよう訴える人が多いという。

 トランプ氏と側近らは10日、ホワイトハウスのルーズベルトルームで、IBMやクアルコム、HPなどのハイテク企業のCEOと会談した。この会合に出席した関係者によると、複数のCEOがトランプ氏の関税に懸念を示し、業界に打撃を与えかねないと警告した。トランプ氏は記者団に対し、出席者らは米国内での投資について話したと語っていた。

 トランプ氏と側近らの発するメッセージに統一性がないため、一部の共和党議員からトランプ氏の経済計画は一貫性を欠くと懸念する声が出ている。

 スコット・ベッセント財務長官は先週、米経済は「デトックス(解毒)」が必要だと述べた。トランプ氏は関税が消費者に経済的打撃をもたらし得ることを認めており、9日のインタビューでは景気後退の可能性を否定しなかった。これを受けて10日の米株式相場は急落し、主要株価指数は昨年11月の大統領選投票日以降の上昇分を全て帳消しにした。トランプ氏は11日、景気後退は予想していないと述べたが、幅広い関税を賦課していく考えを強調した。