ウォルマート、米アマゾンに最大の脅威Photo: WSJ

 米小売り大手 ウォルマート が全米に展開する数千の店舗は、10年前はオンラインショッピング時代の恐竜のように思われた。同社は現在、ネット通販における米 アマゾン・ドット・コム の牙城を脅かす数少ない存在となっており、そうした店舗がウォルマートの戦略の中核を担っている。

 昨年はウォルマートが注文当日に配達した商品が50億点に上り、2023年の2倍になった。肉、卵、牛乳を含め、同社の主要業態である「スーパーセンター」で扱う12万品目の商品の大半は現在、米国の93%の世帯に当日、時には数時間で配達できるようになっている。

 アマゾンは当日配達について、正確に比較できる数字を公表していない。ただ、ウォルマートの広範な配送ネットワークは一部の地域ではアマゾンよりもスピードで勝っており、数年前には想像できなかったような飛躍を示している。

 ウォルマートの米国部門最高経営責任者(CEO)を務めるジョン・ファーナー氏はインタビューで、「迅速配送の拠点としても機能する店舗が約4700カ所もあることは非常にありがたい」とし、「おそらく数年前には、われわれが大規模に配送できるとは誰も予想していなかったかもしれない」と述べた。

 こうした迅速な配達でウォルマートが頼るのが、自社で開発した「スパーク(Spark)」と呼ばれるシステムを使う数千人規模のフリーランスのドライバーだ。スパークはアプリを通じてオンライン注文と実店舗の橋渡しをする。