1円でも安く買いたい!AIでポイ活する人がハマる「思わぬ落とし穴」
話は戻るが、この日に買えばこんなにポイントが貯まりますと聞けば、ユーザーはその日に必ず買う。買おうか買うまいかと迷っている人に対しても、「今でしょ!」と強く背中を押すことができる。むろん、購入するか決めるのは消費者自身の判断だが、筆者もAIのアドバイスを見れば、その通りに従ってしまうだろう。人間の行動を操るのは、案外たやすいのかもしれない。
「自分にぴったりの保険」
は信じていいのか
自分にとっての最良の選択をAIが教えてくれると聞けば、多くの人は歓迎するだろう。保険に入りたい人向けに、アプリに搭載されたAIがあなたの属性から必要保障額や、ぴったりの保険商品をお勧めしてくれるようになるかもしれない。しかし、注意したいのは、そのAIがネット空間を自由に検索して、最適な保険商品や金融機関を探してくるとは限らないことだ。
AIは優れたツールだが、どんなデータを与えるか、また与えないかで、いかようにも結果は変わる。もし、そのアプリ制作会社が紹介手数料に基づくビジネスモデルなら、提携している保険会社の商品がまず「おススメ」に上がってくるだろう。本当にその保険がベストなのか、それこそ人間が見極め、判断しなくてはいけない。
私たちはさまざまな判断を自分で行っていると信じているが、そうでないかもしれない。道案内をいったんカーナビに任せれば、それ以外の道を検討することはまずない。もし、通りを一本それたら、最速ルートではないとしても、知る人ぞ知る魅力的なスポットを発見したり、地元の人しか知らない定食屋があることに気づくかもしれないのだが。また、少々遠回りでも、大通りよりも通行量が少ない脇道の方が走りやすいのにと考える人もいるだろう。
本来、それこそ“自分に合った選択”のはずだ。しかし現状は、どんどんAIやテクノロジーに提案させ、選択をそっくり委ねようとする方向に動いている。私たちは、本当に自分自身で決めているのだろうか。ひょっとして、気づかないうちに消費行動を誘導されていないか。お金を使う前に、そんなことをほんの少しだけ意識してみてはどうだろう。