「いつも浅い話ばかりで、深い会話ができない」「踏み込んだ質問は避けて、当たり障りのない話ばかりしてしまう」上司や部下・同僚、取引先・お客さん、家族・友人との人間関係がうまくいかず「このままでいいのか」と自信を失ったとき、どうすればいいのでしょうか?
世界16カ国で続々刊行され、累計26万部を超えるベストセラーとなった『QUEST「質問」の哲学――「究極の知性」と「勇敢な思考」をもたらす』から「人生が変わるコミュニケーションの技術と考え方」を本記事で紹介します。

反射的に「私も!」と言わない
会話を乗っ取る才能がある人もいる。例えば、あなたがモルディブ旅行から戻ったばかりで、そのことを誰かに話したくてたまらないとする。
深呼吸をして、旅先での経験を話そうとしていると、誰かが割り込んできて、熱っぽく自分の話を始めてしまう。
「ああ、モルディブに行ってきたの? 新婚旅行で行ったわ! きれいなところよね! 島をいくつか周遊して─」
会話の相手に話を乗っ取られ、延々と自分の話をされることほどイライラするものはない。
ときには、マウントを取ろうとする人もいる。
「モルディブ? たいしたところじゃないわ。私は新婚旅行でアメリカ大陸のいろんなところに行った。チリからコスタリカ、キューバまで。最高に楽しかったわ!」
ここでも、「会話地獄」への道は、善意が敷き詰められている。
私たちは、相手と同じ熱意があることを示すために、「私も!」と、自分の似たような経験を躍起になって語ろうとする。
相手とのつながりを深め、波長を合わせたいと思ってのことだが、逆効果を招くことが多い。
相手はがっかりし、苛立ち、話をやめてしまうこともある。
まとめると、私たちは会話に反射的に反応してしまうために、良い質問ができなくなっているケースが多い。
誰かが身の上話をしたり、困っている問題のことを説明したり、何かを質問したりすると、私たちはすぐにアドバイスをし、救いの手を差し伸べ、似たような自分の体験談を話そうとする。
しかし実際には、相手よりも自分自身のほうに意識が向いている。
相手とのつながりを深めたい、自分は味方だと伝えたいと思い、そのために懸命に話そうとする。
けれども皮肉にも、相手は自分に関心をもってもらえているとは感じず、会話への興味を失ってしまう。最悪の場合は、二度と話をしてくれなくなる。
反射的に「私も!」と話すのではなく、まずは「相手の話を聞くこと」に集中しなければならない。
(本記事は『QUEST「質問」の哲学――「究極の知性」と「勇敢な思考」をもたらす』の一部を抜粋・編集したものです)