担当を外され書類整理の閑職に
行政が内部告発者の名前を暴露
【ケース3】三菱重工業(2004年)
設計補助担当だった告発者は、神戸造船所に勤務していた複数の社員が虚偽の実務経験証明書を国土交通省の外郭団体に提出し、「監理技術者」の資格者証を取得したとして、社内のコンプライアンス委員会にメールで通報しました。その後、告発者はそれまでの担当を外され、約半年間仕事を与えられず、書類整理などを命じられました。コンプライアンス委員会は「該当者を監理技術者として起用しない」と告発者に回答しました。
【ケース4】大阪トヨペット(2006年)
同社グループは「公益通報者保護」の窓口を法令に従い設置したのですが、その窓口に「販売手法に不法な点がある」という告発がありました。その後、いきなり告発者は会社から10日間、自宅待機を命じられました。本来、こういう窓口は会社の外部に設置するものなのですが、実は窓口の弁護士から名前が会社に漏れ、告発者が不利益を被る事態になったのです。ただし、この不法な点は改められ、告発者本人も会社に復帰したということで、一応保護の成果は出たと考えられます。
【ケース5】トヨタ車体精工(2006年)
労災隠しと偽装請負が発覚したトヨタ自動車グループのトヨタ車体精工が、派遣労働者を直接雇用に切り替えた際、内部告発した男性らに採用面接の機会を与えず、他のメンバーは採用されたという出来事です。不採用の理由については疑問が残っています。
【ケース6】金沢大学医学部(2006年)
准教授が教授の使い込みを告発しましたが、それが理事長側の教授だったため、大学は「調査の結果、問題はなかった」ともみ消そうとしました。その後、教授からのパワハラが始まり、告発者は授業をさせてもらえなくなりました。しかし、マスコミ報道により、再調査が行われて裏金疑惑がハッキリしたため、教授は出勤停止2カ月の処分に。
確執はなおも続きました。同病院で2つの医療事故が起きたため、准教授は厚生労働省に連絡。しかし、その窓口となった専門官は、医療事故を起こした医師に告発者本人の名前を明かしたのです。准教授は報道機関に通達し、厚生労働省の官僚は戒告処分となりました。そして金沢地裁は、准教授への賠償金220万円の支払いを病院に命じました。