斎藤元彦兵庫県知事を巡る騒動がいまだ収まらない。作家で元外務省主任分析官の佐藤優氏が、この騒動の中で最も注目したこととは?(作家・元外務省主任分析官 佐藤 優、構成/石井謙一郎)
兵庫県知事・斎藤氏への
「おねだり」批判はおかしい
斎藤元彦氏が再選を果たした兵庫県知事選挙ですが、県政は現在も混迷の中にあります。
当初は斎藤元彦知事のパワハラや違法行為、おねだりを告発する文書に対して、斎藤氏が告発者を捜し出し、内部調査だけで懲戒処分と判断したことに対して、公益通報者保護法に違反する疑いがあるのではと騒動になりました。
兵庫県議会から不信任を受けて失職した斎藤氏が出直し知事選で圧勝。さらに、選挙が終わると、「斎藤氏の選挙の広報全般を任された」というPR会社の女性社長が登場し、今度は公職選挙法違反ではないかと問題になっています。
私がこの件でまず違和感を覚えたことは、斎藤知事に関して、おねだり疑惑が告発されていたことです。パワハラや違法行為があったのであれば大問題ですが、おねだりは次元の違う話です。
筆者は複数の県知事を知っていますが、誰もが“貢ぎ物”の処理で困っています。県内各地からPRのために、「これを食べてください。この製品を使ってみてください」と名産や特産が送られてくるからです。
殿様への献上品みたいなものですから、兵庫県に限って知事の側から「これをくれ。あれをくれ」とねだるなど、考えられません。マスメディアが過剰に批判をしていたことは否めません。
そして本件で最も私が注目しているのは、当初、インターネット空間で斎藤氏を激しくバッシングしていた人々の動きです。