タレント中居正広氏の女性トラブルへの一連の対応不備に揺れるフジ・メディア・ホールディングス。その臨時取締役会が、物言う株主の指摘を受けて緊急開催される。「フジテレビの企業統治に深刻な欠陥がある」との批判の背景には、モニタリング体制の不備や社外取締役の独立性の欠如がある。企業統治の専門家がフジ・メディアHDと民放3社のガバナンス構造を検証し、企業統治のあるべき姿を考察する。(生活経済ジャーナリスト 柏木理佳)
物言う株主はなぜ欠陥を指摘したのか?
タレント中居正広氏の女性問題で揺れるフジテレビの親会社、フジ・メディア・ホールディングス(フジ・メディアHD)は、この問題に対応するため、1月23日に臨時取締役会を開催すると発表した。社外取締役を務める文化放送の社長らが、開催を求めていた。これは、フジ・メディアHD株主である米投資ファンド、ダルトン・インベストメンツに「フジテレビの企業統治に深刻な欠陥がある」と指摘されたからだろう。
フジ・メディアHDで臨時取締役会の開催が促されたケースからもわかる通り、外部役員である社外取締役や監査役の役割は、企業のモニタリングチェック、監査・監督機能である。社外取締役の割合が低い、独立性の低い社外取締役しかいない、といった企業ではモニタリングチェックは機能せず、悪い習慣が根付いた組織文化になりやすい。
今回、不祥事に揺れているフジテレビにも、企業統治に何らかの問題があることが考えられる。実は、日本には企業統治に問題がある企業が多く、組織的な不正が起きやすい土壌がある。そもそも企業統治はどうあるべきなのか。フジテレビのガバナンスの問題点を踏まえつつ、検証したい。