
PHOTO: TIMOTHY MULCARE FOR WSJ
米国株がこの数週間に調整局面入りしたことは、景気後退の兆候どころではない。景気後退を引き起こす可能性すらある。
米株式相場は昨年11月の米大統領選でのドナルド・トランプ氏の勝利を歓迎したが、足元では安値に沈む。トランプ政権が仕掛ける攻撃的で変化の速い関税戦争が米経済のソフトランディング(軟着陸)を台無しにしかねないとの懸念が広がっているためだ。S&P500種指数は13日、2月の高値から10%超下落して取引を終え、調整局面入りの基準を満たした。14日には下落分の一部を取り戻した。
すでにムードは暗くなっているが、株安は、より多くの二次的被害をもたらす連鎖反応の始まりに過ぎないかもしれない。ハーバード大学の経済学者、ガブリエル・チョドローライシュ氏の推計によると、2025年の株価が20%下落した場合、他の条件が同じなら今年の米経済成長率を最大1ポイント押し下げる可能性がある。S&P500種指数は14日の終値時点で年初来4.1%安だった。
株安は、近年の米国の繁栄を支える二つの主要なエンジン(活発な家計支出と企業の設備投資)の「燃料」を奪う可能性がある。