トランプ関税の不透明が招く「高ボラティリティー相場」は優良株投資のチャンス、25年の有望セクターは?Photo:AFP=JIJI

トランプ政権の関税政策で先行き不透明感が強まる中、日本株はレンジ相場が続いている。今後も不確実性の高さゆえ市場のボラティリティーは高い状態が続くだろう。だが、それはクオリティーの高い銘柄への投資の好機でもある。(UBS SuMi TRUSTウェルス・マネジメント ジャパン・エクイティ ストラテジスト 小林千紗)

トランプ関税や移民制限政策が
米国の期待インフレ率押し上げ

 日本株(日経平均、TOPIX〈東証株価指数〉)は2024年8月の急落以降、ボックス圏の株価推移が続いていたが、2月中旬以降はS&P500の下落とともに低下し始め、レンジの下限に近付いている。

 トランプ政権2.0による関税強化や移民制限政策がインフレ率上昇懸念につながり、米国の長期期待インフレ率は1995年4月以来の高水準に上昇した(図表1参照)。

 センチメント低下の結果、ドル円は150円を割った。加えて、2月27日にトランプ大統領は中国に対して、追加で10%の関税(合計20%)を課し、カナダとメキシコに対しては延長期限である3月4日に関税を発動すると発表した。また3月3日、トランプ大統領は、関税の理由として円安誘導や人民元安誘導を挙げた。

 トランプ政権2.0における関税のリスクについて株式市場は広く認識している。一方で、発動時期や規模・対象(国・製品など)が不確実であるため、そのリスクを織り込みきれていなかった株式市場は目前に迫った関税リスクを強く意識し始めた。

 次ページでは、トランプ関税の市場に与える影響について検証していく。