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「大丈夫です、完璧です」そう自信満々に言った部下が、本番で痛恨のミスを犯す。「もっとポジティブに考えよう」とアドバイスしたら部下のパフォーマンスが落ちてしまった……ビジネスの世界ではポジティブ思考が重要、とよく言われる。しかし“ポジティブであるがゆえの落とし穴”もあるのだ。(心理学博士 MP人間科学研究所代表 榎本博明)

※本記事は『【新装版】薄っぺらいのに自信満々な人』(日経プレミアシリーズ)から抜粋・再編集したものです。

ポジティブ思考がいつもうまくいくとは限らない

 ポジティブ思考が積極的な行動を導く。それは事実だ。「どうせうまくいかないよ」とネガティブな人はモチベーションが上がらないが、「きっとうまくいく」とポジティブな人は高いモチベーションを維持できる。その結果、困難な状況にもめげずにチャレンジして成果を出すことができる。

 ただし、ポジティブなタイプの人がいつもうまくいくとは限らない。

 ポジティブで勢いで動くタイプには、ときに危うさを感じることがある。大事な取引先との交渉や大きな受注につながるプレゼンを前にして、準備はどうなっていると訊くと、

「大丈夫です、完璧です」

 と余裕の笑顔で答える。

 完璧などということはあり得ないし、安易にそんな言葉を使ってほしくないが、本人の自信満々な気分を壊してやる気を削いでもいけないので、それ以上追求せずに任せておく。

 すると、楽観的で見通しが甘いため、準備段階で見逃していたことがあったり、気持ちの緩みから初歩的なミスをしたり、思いがけない展開への対処がうまくできなかったりして、結局上司や先輩がサポートに乗り出さないといけなくなる。そんなタイプがいるものだ。

 一方、ネガティブだからこそうまくいくというタイプもいる。

 悲観的で不安が強いために、用意周到に準備を行い、起こり得るあらゆる状況を想定し、その場合の対処法を検討しておくことで、物事を滞りなく進行させる。そんなタイプもいたりする。