阿部前監督の辞任劇によって、AIに淘汰される職業リストにプロ野球監督が追加されてしまった、と悲しむ声も… Photo:JIJI
巨人・阿部慎之助氏の辞任騒動で注目を集めたのが、長女が「ChatGPTに相談した結果、児童相談所へ連絡した」というエピソードだ。ネット上では「AIに相談するなんて」と驚く声も上がったが、深刻な悩み相談のためにAIを利用する人はすでに少なくない。AIは本当に間違った助言をしたのか。そして私たちはAIとの距離感をどう考えるべきなのか。今回の騒動をきっかけに、「AI相談」の現在地を考えてみたい。(フリーライター、鎌田和歌)
阿部監督辞任の引き金
娘の「AI相談」は失敗なのか?
巨人・阿部慎之助前監督が現行犯逮捕、その後釈放されて辞任。5月の最終週に衝撃的なニュースが駆け巡り、他のニュースが吹き飛んでしまった感がある。
まず5月25日夜に逮捕の速報が入り、その理由が長女への暴行であると報じられた。ファンたちの動揺が収まらぬ中、翌日には会見が開かれ、ここで辞任が発表された。阿部前監督は涙を流しながら謝罪。さらにここで長女が書いたという手紙が読み上げられた。これ以降、世間の関心はこの手紙の内容に向かうようになった。
多くの人が気にしているのが、長女がAIに相談して児童相談所への連絡を決めたというくだりである。原文は以下のとおり。
「父とのこのような大がかりなケンカというのは初めてのことであり、『チャットGPT』に相談した結果、『匿名で相談できる児童相談所というものがありますよ』という形での説明書きがなされ、それでお電話をさせていただきました。」
ネット上ではAIに相談して決めるなんて……と驚く声も少なくなかった。開始から数日で13万筆以上が集まったオンライン署名「阿部慎之助の監督復帰を求めます」を拡散した一人、映画監督の山崎貴氏も、Xで下記のように投稿している。
『僕は野球はてんで判らないんだけど、この事件はAIに惑わされる人類って意味でも、人間の力で元に戻さないといけない奴だと思う。何より、このままじゃ娘さんが深い傷を負うことになりそうだし』
オンライン署名に相当な数が集まっていることからも「家庭内の揉め事なのに制裁が大きすぎる」と感じている人が多いことがうかがえる。
一方で、「理由はどうあれ、飲酒した状態で娘を投げ飛ばしたのは事実。虐待通報は躊躇(ちゅうちょ)されてはならず、AI、児相、警察の対応はどれも間違っていない」という立場の人も少なくない。







