
PHOTO: KAYLEE GREENLEE FOR WSJ
バイデン前米政権下で議論の的となったプログラムを利用し、過去2年間に数十万人の移民が合法的に米国に流入した。だが彼らは今や、ドナルド・トランプ大統領から強制送還の標的にされている。
この難局の中心にあるのは、南部国境が深刻な危機に陥るさなかにジョー・バイデン前大統領が立ち上げたプログラムだ。中南米で特に問題を抱えるベネズエラやニカラグアなどから大量の移民が押し寄せていたため、合法的な移住機会があれば、彼らはそれを目指すだろうとの思惑だった。
バイデン氏はこの制度を整えた。移民法の規定にちなみ、「人道的臨時入国許可」と呼ばれるこのプログラムは、移民が個人情報を提出し、米国人のスポンサーを見つけることを条件に、合法的に入国し就労する2年間の許可証を発行するものだった。入国後は多くの人がより長期の滞在を目指し、難民申請など他のプログラムに応募した。
共和党は直ちにバイデン政権を非難。入国資格のない移民を受け入れる「裏口」を作ったと主張した。彼らの入国は記録上、違法と扱われないため、実質的に国境危機の度合いを隠ぺいするという。
トランプ氏は今月4日の施政方針演説で「ジョー・バイデンは国境を開放しただけでなく、違法な外国人を空輸し、われわれの学校や病院、コミュニティーを圧迫した」とこのプログラムについて述べた。
トランプ氏は大統領選挙期間中からこのプログラムに反対し、大統領就任と同時に新規申請受付を停止した。