銅価格「1万3000ドル台」で高止まり、イラン戦争の行方に揺さぶられ不安定な値動き続くillustrationPIXTA

銅価格が歴史的な高値圏で不安定な推移を続けている。LME(ロンドン金属取引所)3カ月物は1月末に史上最高値を更新した後、イラン戦争による景気悪化懸念で下落したが、足元では1万3000ドル台を回復。AI、エネルギー転換、防衛関連の需要期待が支える一方、在庫増や実需の減退が上値を抑える。(三菱UFJリサーチ&コンサルティング調査部主任研究員 芥田知至)

ドル安・需給を背景に投機主導で
史上最高値更新後に高止まり

 自動車、エレクトロニクス製品、建築などに使われる銅は、国際指標とされるLME(ロンドン金属取引所)の3カ月物が1月29日に1トン当たり1万4527.50ドルと史上最高値を付けた。その後、イラン戦争が売り材料になり、1万3000ドルを割ったものの、足元では1万3000ドル台を回復し、底堅い推移となっている。

 2026年初めは、前年からの騰勢が続いた。1月5日は、チリの鉱山でのストライキ、今年の供給不足見通し、LME指定倉庫の在庫の低水準などを受けて、銅相場は初めて1万3000ドルを上回った。

 6日もインドネシア・ペルー・チリなどの鉱山での供給障害や各分野での需要増加観測を背景とした需給タイト化懸念から高値更新が続いた。7日は、前日までの上昇の反動で利益確定売りに押されて、下げ幅が大きくなった。

 8日も利益確定売りが続いた。10月の米貿易統計で貿易赤字が市場予想を下回ったことや米新規失業保険申請件数が少なかったことを材料にドル高が進み、銅相場を下押しした。

 米金融大手ゴールドマン・サックスが26年前半の銅相場見通しを1万1525ドルから1万2750ドルに引き上げたものの、10~12月期の見通しは1万1200ドルに据え置き、1万3000ドル台は持続的でないとした。

 9日は、今後の需要増を見込んだ買いが膨らんだ。理由として中国で昨年末に、26年に消費財下取り制度の支援に超長期特別国債の資金625億元を割り当てることや中央政府予算による約2950億元規模の建設プロジェクトを含む26年の早期投資計画が発表されたことが挙げられた。

 週が変わった16日は、利益確定売りや高値を警戒する実需筋の買い控えで相場は下落した。中国の需要の強さを示すとされる銅の輸入プレミアムは低下した。

 20日も、高騰による買い控えや、高水準のLME在庫を背景に銅価格は下落した。トランプ大統領が、グリーンランド問題を巡って、欧州8カ国に対して、追加関税を課すと表明し、米欧の対立激化が懸念されたことも弱気材料だった。

 23日は、米ニューヨーク連邦準備銀行によるレートチェックの実施から為替相場で急激なドル安が進行したことなどが銅相場の支援材料となり、上昇幅がやや大きくなった。29日は、史上最高値を更新し、一時1万4527.50ドルを付けた。高騰が実需の減退を招きつつあるとの指摘がある中で、投機筋主導で相場が押し上げられたとみられる。

 30日は、トランプ大統領が、次期FRB(米連邦準備制度理事会)議長に元FRB理事のケビン・ウォーシュ氏を指名すると発表したことを受けて、為替市場はドル高の反応となり、米株価が下落したこともあって、ドル建ての銅は割高感やリスク回避姿勢から売られ、下落幅が大きくなった。

 次ページでは、2月以降の相場の動きを検証するとともに、米国とイランの停戦協議など相場の変動要因について分析する。