
トランプ2.0は、国際ルールを無視するかの政策を突然とっぴにぶち上げ、ディール次第で朝令暮改も意に介さない。それは場当たり的に見える一方、最終目的に向かう迂回路を綿密に練っているとも推察される。米大統領の一言一句に直接的反応を見せていた市場は、朝令暮改によるハシゴ外しにも度々遭い、目線が定まらない。不確実性を嫌う株式相場の下値は脆弱化しつつある。投資家として、不安で不透明な場面の予測情報の偏りを踏まえ、シナリオ分岐多発リスクにどう臨むべきか。(楽天証券グローバルマクロ・アドバイザー TTR代表 田中泰輔)
トランプ大統領の暴走を
止められるのは市場の暴落だけ?
市場が第2次トランプ政権の政策(トランプ2.0)に翻弄されている。大統領は、内外にハレーションを呼ぶ政策を突然とっぴにぶち上げる。しかし、必ずしも気まぐれの脅しにも見えない。目的を達成すべく、綿密に迂回路を練っているとも臆測される。
市場はその真意を測れず、言葉の一つ一つへ反応しても、すぐ別の発言でハシゴ外しの憂き目にも遭い、相場に肩入れできなくなっている。不確実性を嫌う相場が、暴落に向かうのではないかとの警戒も見られる。
もっとも、トランプ大統領の暴走を止められるのは、どの国の元首でも、政権の取り巻きでもなく、人では無理として、市場の暴落ショックぐらいという声まである。
経済に強い(はずの)トランプ2.0は、市場を追い込むことはないとする楽観もあるが、相場が急落すれば、それはそれで逆手に取って利益を狙うくらいのことはする面々にも見える。市場は疑心暗鬼に揺れ動くばかりだ。
次ページでは、債券市場や株式市場が翻弄される様を振り返り、改めて今後の指針を提示したい。