いつも嫌なことが頭の中をぐるぐる巡ったり、「あの人のことを考えると不安やイライラが止まらない」と感じることはないだろうか。そんなとき、まず大切なのは、問題を解決しようとする前に、一度「ストレスをリセット」することだ。『瞬間ストレスリセット――科学的に「脳がラクになる」75の方法』(ジェニファー・L・タイツ著、久山葉子訳)では、ストレスを抱えやすい人のために、科学的に実証された気分転換の方法を多数紹介している。本書は単なる事後対処にとどまらず、そもそもストレスを寄せつけない体質をつくる方法についても解説。ベストセラー『エッセンシャル思考』の著者グレッグ・マキューンも「この本は、人生の本質的でない混乱から抜け出したいと願うすべての人にとって、必読の救いの書である」と絶賛。今回は発売を記念して、特別に本書の内容を一部抜粋、再編集してお届けする。

人生は「捉え方が10割」
物事の捉え方のせいで、つらさが悪化するのはよくあることだ。
たとえば、拒絶されたときに、「私は愛されない」「私なんて何もうまくいかない」と思い込むと、その出来事よりもその解釈が心の痛みをエスカレートさせ、長引かせることがある。
そんなときは、ネガティブな考えと現実を混同せずに、次のような戦略を使って事実確認を行おう。
▼「この考えは助けになっている?」と自分にたずねる。考えのどれかが役に立たないことに気づくだけでも手放しやすくなるはずだ。思考の迷惑フォルダをつくるとイメージしてもいい。
▼あまりに動揺して、自分の考えに根拠があるかどうか見極められない場合は、次にとるべき具体的な行動を計画する(例:自分は絶対に失敗する→15分だけベストを尽くしてみよう、など)。
▼最悪のシナリオばかり考えてしまうときには、戦略的なアプローチが有効だ。こう自分に問いかけてみよう。
「本当にそれが真実だとわかる?」
「勝手に脅威だと思い込んでいない?」
「現実的に考えて、そうなる可能性はどれくらい?」
「それ以外の解釈や結果は考えられない?」
書いて整理する、行動にうつす
書くことで客観的になれるなら、次のフォーマットを使ってもいい。

たとえば、スーパーで銃乱射事件があったというニュースを聞いて、強い恐怖やストレスを感じたとしよう。
それが「動揺するような恐ろしい出来事だ」と認めた上で、自分がスーパーで買い物をしている間に銃撃が起こる可能性はとんでもなく低いことを理解する。
悲劇に目をつぶるのではなく、最悪の結果にフォーカスするのを防ぎ、もっと現実的な結果に視野を広げるのだ。
「たとえ現実をコントロールできなくとも、自分の人生を生きる努力をするのが自分にとって唯一の選択肢だ」と言い聞かせて前に進もう。
自分をだますのではなく、視点を変える
ここで重要なのは、自分を騙すことではなく、現実的で効果を生む形を考えることだ。
最近あるクライアントが「仕事でも恋愛でも、一歩を踏み出したとたんに壁にぶち当たってしまう」と話してくれたことがあった。
そこで私は「壁」を「スピードバンプ(段差)」[道路にある、車のスピードを減速させるための構造物]に置き換えてみようと提案した。
この発想の転換によって、彼は失望する出来事があっても、挑戦を続ける意欲を持てるようになったのだ。
※『瞬間ストレスリセット』では、科学的に短時間でストレスを解消できる方法を多数紹介。その場しのぎではなく、ストレスに強くなるための習慣や対策(ストレス耐性を高める方法)も幅広く取り上げています。