いつも嫌なことが頭の中をぐるぐる巡ったり、「あの人のことを考えると不安やイライラが止まらない」と感じることはないだろうか。そんなとき、まず大切なのは、問題を解決しようとする前に、一度「ストレスをリセット」することだ。『瞬間ストレスリセット――科学的に「脳がラクになる」75の方法』(ジェニファー・L・タイツ著、久山葉子訳)では、ストレスを抱えやすい人のために、科学的に実証された気分転換の方法を多数紹介している。本書は単なる事後対処にとどまらず、そもそもストレスを寄せつけない体質をつくる方法についても解説。ベストセラー『エッセンシャル思考』の著者グレッグ・マキューンも「この本は、人生の本質的でない混乱から抜け出したいと願うすべての人にとって、必読の救いの書である」と絶賛。今回は発売を記念して、特別に本書の内容を一部抜粋、再編集してお届けする。

「脳疲労」を起こしている人に共通する「悪習慣ワースト1」Photo: Adobe Stock

いつも「スマホ」を視界に入れている

常にスマホを握りしめて最新情報を把握し、誰かから連絡があればすぐに返信する―それで何もかもうまくいくように思えるかもしれないが、常に「オン」の状態だと疲れてしまい、結局人間関係にも悪影響が出る。

今では他の人と一緒にいるときでも、届いたメッセージに返信することが当たり前になってしまった。

これでは、すでに嫌というほど感じている孤独や孤立感を増幅させるだけだ。

研究でも食事中にスマホをテーブルに置いているだけで(使わなくても)、楽しさが減り、コミュニケーションに集中しづらくなることがわかっている。

さらに悪いことにはスマホが視界にあるだけで「脳疲労」を起こし、認知能力や集中力が妨げられるのだ。

24時間待機は「非効率」

24時間365日いつでも待機しているようにふるまうと、実際にそう感じてしまう。
その状態は不安を生むだけでなく、実は非効率でもある。

メールがどんどん届いて、それに返信しているうちに一番重要なタスクから脱線してしまうからだ。

受信ボックスを整理する代わりにメールに返信してばかりいると、さらにメールが届くだけだというのはわかるだろう。

意味ある人生を「無意味な瞬間」に切り刻んでいる

「メールの過負荷」、つまり受信ボックスが手に負えない状態になるとそれもストレスになる。

ある研究では、私たちは1日に74回メールを読み、10分ごとにタスクを切り替えていて、人生を「時間の紙吹雪」にしてしまっている。

これは作家のブリジッド・シュルトによる表現で、意味ある人生をたくさんの無意味な瞬間に切り刻んでいるということだ。

私自身はチャットもメールと同じくらい気が散るので、今ではキャッチアップ用の時間を決めて、そのときにだけ確認している。

受信ボックスから解放される方法

受信ボックスから離れる時間を決め、離れている間は「今この瞬間」に集中しよう。

プライベートのチャットや仕事のメールにすぐに返信しなくてもいい時間帯(勤務時間後にリラックスするときや、邪魔されずに仕事に集中したいとき)を利用しよう。

スマホや他のデバイスは目に入らない場所に置き、メールからもログアウトする。

すぐに返信できないのが不安なら、何がそんなに不安なのかを特定してみる。

離れている間に未読メールが山積みになるから?

プライベートで疎外感を感じるから?

その心配を抑えて休憩をとり、実際に自分がどう感じるのかを観察する。

決まった時間にだけメールをチェックする

一気に大きな成果がほしければ、決まった時間にだけメッセージをチェックするという方法もある。

事前に決めた時間にチェックするほうが、無制限にちょこちょこチェックするよりストレスが少ないことが研究でも判明している。

また、無駄なやりとりを最小限に抑える方法を考えてもいい。

何度もメールを送り合うよりも、ちょっと電話したほうが早いこともあるはずだ。

すぐに返信しない人だと思われるのが心配なら、自分の計画を周りの人にも伝え、いつ返信するかを知らせておくこともできる。

1週間スマホの使用を控えただけで、不安やうつが軽減

これまでの習慣を変える価値などないと思うなら、この実験のことを知ってほしい。

大学生に1週間スマホの使用を控えるか減らすよう依頼したところ、実際に減らすことができた。

その結果、習慣を変えなかった対照群と比較して、生活の満足度と運動レベルが上がった。

不安やうつも軽減され、その効果は数ヵ月後も持続したのだ。

『瞬間ストレスリセット』では、科学的に短時間でストレスを解消できる方法を多数紹介。その場しのぎではなく、ストレスに強くなるための習慣や対策(ストレス耐性を高める方法)も幅広く取り上げています。