実は日本人の発明「餃子ライス」、中国人の目には「餃子を頼むお金がない人」に見えるって本当?写真はイメージです Photo:PIXTA

 アツアツの餃子とつやつやの白米……この組み合わせは日本人にとって“鉄板”と言っていいだろう。米どころ新潟県でも「新米をおいしく食べるには餃子」と地元メディアが紹介したこともある。町中華でも「餃子定食」や「餃子ライス」は定番で、人気メニューとなっている店も少なくない。

 だが、この餃子ライス、実は日本独自の食べ方であることをご存じだろうか。中華料理に詳しいフードライターはこう語る。

「中国人は餃子や麺類は炭水化物とタンパク質を一緒に摂って満腹になるという“完全食”だと考えています。中国人が餃子ライスを知った時の衝撃を日本の食文化に置き換えると、『マグロのにぎり寿司を一口かじっておかずにして、ライスを食べる』という感覚でしょう。最近は本場の中華料理を提供する“ガチ中華”の店が話題ですが、そうした店の餃子は水餃子が中心で、皮が厚いのが特徴。うどんのように食べ応えがあるので、かなり大食いの人でも2皿も食べれば満腹になります。それゆえ、これをライスと合わせて食べるという発想自体がないのです」

 実際、北京出身の料理研究家、パン・ウェイさんもこう話す。

「私の故郷でも(焼き餃子ではなく)水餃子が主流で、特にお正月には欠かせない料理でした。昔の中国は物資が乏しかったこともあり、山盛りの水餃子は最高のごちそうで、それだけで満足したものです。ちなみに焼き餃子は食べ残した水餃子を翌日に焼くのが基本のため、焼き餃子をお客さまに出すと『残り物を食べさせるのか!』と怒られます」

 パンさんが初めて来日したのは高校生の時。世話をしてくれた日本人は「町中華のほうが興味を持ってもらえるだろう」と考え、どこにでもある普通の中華料理店にパンさんを案内してくれたという。

「そのお店で初めて『餃子とご飯を食べる日本人』を見ました。私は反射的に『あの人たちはお金がなくて困っており、十分に餃子が注文できず、やむなくご飯を頼んだのだろう』と判断してしまい、見てはいけないものを見てしまったような気持ちになりました(笑)。今となっては笑い話ですが、それだけ中国人にとって餃子とご飯の組み合わせは考えられないものなのです」