ずば抜けて実務能力が高くなくても人より成果を上げられる人は何が違うのか。
今、ビジネスパーソンから経営者まで数多くの相談を受けている“悩み「解消」のスペシャリスト”、北の達人コーポレーション・木下勝寿社長の『「悩まない人」の考え方』と『時間最短化、成果最大化の法則』がベストセラーとなっている。
木下氏は「私は実務能力がずば抜けて高いわけでない。だが①悩んでいる時間の短さと②タスク管理能力の高さだけは突出しているかもしれない」という。①と②にそれぞれ対応したのが上記2冊。そこで「ここ20年以上悩んでいない」という著者を直撃。今回は「後伸びする社員の見抜き方」だ。(構成/ダイヤモンド社・寺田庸二)

「社員がやる仕事」と「外部にお願いする仕事」
多くの人が驚くかもしれないが、入社後すぐ活躍する社員はダメである。
なぜか。
前提として会社の仕事には大きく分けて2種類ある。
「社員がやる仕事」と「外部にお願いする仕事」である。
後者の「外部にお願いする仕事」の長所は、固定費と教育費がかからないところだ。
ここで「入社してすぐ活躍できる仕事」とは何かを分析していくと、社内理解がなくてもできる「外部でできる仕事」となる。
社長目線でいえば、そこですぐ活躍したところで、会社としては大したメリットはない。これならはじめから外部に委託すればいいのだ。
社長が社員に求める「重要能力」とは?
そこで社長が求める社員の仕事を考えていくと、具体的な実務よりも重要なものがある。社内外の調整能力だ。
実は当社には、私が最も重宝している社員Aさんがいる。
Aさんは入社して10年ほど経つが、社内のことを知り尽くしている、私にとってはなくてはならない存在だ。
Aさんにはあいまいな指示でも仕事をきちんとこなしてくれる。
Aさんは私からのふわっとした仕事の依頼でも、「この件はこの人、あの件はこの人」と的確な仕事の割り振りが瞬時にできる。
すぐ「活躍」より
すぐ「理解」を!
このように、多くの人が忘れがちな社員の重要能力として、仕事の割り振りや調整能力がある。
もし読者のみなさんがキャリアアップを目指すなら、まずあなたの会社がどんな業務をしていて、どんな得意・不得意を持った社員が働いているかなど、社内の人たちや仕組みをきちんと理解することに全力集中してほしい。
私が見てきた中でも、すぐ活躍する人より、まずは徹底的に会社の理解に努めた人のほうが確実に伸び代が大きい。
新しく会社に入った人は、すぐ「活躍」するのではなく、すぐ会社を「理解」すべきなのだ。
(本稿は『「悩まない人」の考え方――1日1つインストールする一生悩まない最強スキル30』の著者による書き下ろし記事です。)