「大学受験」は10代における最大のイベントです。残念な側面でもありますが、いい大学にいけば、なりたい職業になれる確率は上がり、将来の選択肢は増えるのが現在の日本です。それほどまでに大学受験の持つインパクトは大きくなっています。そんな難しい時代でも「自分らしい大学進学」をするために書籍:『17歳のときに知りたかった受験のこと、人生のこと。』が発売されました。本書は、きれいごとを抜きにして、「大学受験とはどういうものなのか」「人生とはどういうものなのか」を考えることができる受験の決定版です。本記事では発刊を記念して本文『特別コラム』の一部を抜粋・再編集してお届けします。

高校生Photo: Adobe Stock

大学受験はタイパが大事

 若い人のあいだでは「タイムパフォーマンス」、略して「タイパ」という言葉が使われていると聞きます。実際はどうですか?

 いろいろな学生を見ている限り、「使われているな」という印象です。要するに、かけた時間に対して成果が見合っているかどうかを「タイパ」と呼んでいるんですよね。

 めちゃめちゃいい考え方だと思います。大人はこれを「生産性」と呼びます。考え方は一緒で、いかに効率よく成果を出せるかを「生産性」という言葉で表現します。

 たとえば、いつもの会議で1時間かけたものの、なにも決まらなかったときに「生産性のない会議でしたね」と言われます。

 僕は受験生のときに、こういった考え方を持っていなかったので、今の受験生は極めて大人に近い思考を持っているなと感じます。

 ただ。なぜ、その考え方を受験勉強には適用しないのでしょうか。

 受験生を見ていると、それなりの割合で、「勉強時間」だけに重きを置いている人がいます。「1日10時間勉強する」といった具合にです。

 心意気は認めますが、長い時間勉強することが目的ではなく、目の前の問題を解けるようにすることが目的なはずです。そう考えたら、なるべく効率よく、それこそタイパ重視で勉強したほうがよくないですか?

 勉強時間は定量化できるうえに、わかりやすいので、つい目標にしがちですが、ダラダラ勉強するのは本末転倒です。

 中身がなくただ勉強時間だけが長い人は、目的意識もなく「勉強した気になっているだけ」の人が非常に多いように感じます。こういったときこそ「タイパ」の意識を持ちましょう。

 これまで、東大京大や早慶をはじめとする名門大学の学生たちに受験生のときのエピソードを何度も聞いてきましたが、皆共通しているのは限られた時間で効率よく勉強しているということです。

「そういった人は元々いい高校に行っているだけ!」と言われそうですが、そんなこともなく、逆転合格に近い人ほど、極めて効率よく勉強をしています。

 特に国公立大学の受験ともなれば、科目数も非常に多いですから、気合だけでは絶対に受験まで間に合いません。