“私”という単語よりも、“○○さん”を会話のなかにちりばめて、相手を主役にした会話を心がけると、相手は心地よくなります。

「○○さん、ジムで筋トレをしてるんですか?」「すごいなあ。○○さんって行動力ありますよね」「○○さんの目標が叶うといいですね」などと振ることで表情が和らいで、会話は盛り上がっていく。すると、こちらの話も喜んで聞こうとしてくれるのです。

 “聞き上手”より“話させ上手”になって、会話を楽しみたいものです。

「それは嬉しかったね」と、
相手の感情を代弁する

 ひどく心が傷つく出来事があって落ち込んでいるとき、「そんなの、よくあること。クヨクヨしないで、元気だしなよ」と励ましてくれる人や、「人生はポジティブ・シンキングが大事」とアドバイスしてくれる人より、「それは落ち込むよね。辛かったね」などと寄り添ってくれる人と一緒にいたいと思うものです。

 ネガティブな気持ちになっている人に対しては、なにか気の利いたことをしてあげようとするより、「それは怒りたくもなるよね」「ひとりで心細かったね」「焦ったでしょう?」と、相手の“感情”を代弁して寄り添ってあげるほうが、サポートになるのです。

 寄り添ってもらった人は、あたたかい雰囲気のなかで心の重荷を一緒にもってもらったようで、気持ちが軽くなり、自分で前を向こうとします。

 同じように、「資格試験に合格しました」などと言ったときに、「それって難しい試験なの?」「キャリアアップのために必要だからね」と批評されるより、「やったね。ほっとしたでしょう?」「こんなに嬉しいことってなかなかないね」と、自分のことのように喜んでくれる人のほうが、心が通い合っているようで嬉しいものです。

 ある友人は、私が楽しい遊びの計画を話すと「ワクワクしてきた」と楽しみ、理不尽な出来事には「むちゃくちゃ腹が立つ!」と私以上に怒り、ときには一緒に泣く……と、まるで追体験しているような共感力。なので、かけがえのない友人なのです。

「できないヤツ」「あの人には任せられない」職場の同僚をバカにする人の末路『なぜか好かれる人の小さな習慣』(有川真由美、毎日新聞出版)

「人の気持ちに寄り添える人」は、愛情に満ちた雰囲気と安心感があり、間違いなく好かれます。

 相手の気持ちを察して、声をかけたり、話を聞いたり、遠くから見守ったりと、適切な対応ができる。相手の立場から考えられるので、たとえ意見が違っても、譲り合ったり、折り合いをつけたりして、トラブルになることも少ないのです。

 相手の感情を代弁する習慣によって、そんな愛情深い人に近づくはずです。