
人は自分の話を聞いてもらうことで安心し、相手に好意を抱く。したがって、「聞き上手」のみならず「話させ上手」になることが重要だ。相手の話を引き出し、会話の主役を譲ることで、信頼関係が深まって人間関係は円滑になるという。会話上手な人がやっている「話させる技術」の極意とは?※本稿は、有川真由美『なぜか好かれる人の小さな習慣』(毎日新聞出版)の一部を抜粋・編集したものです。
どんな話も「面白がって」聞く
「好かれる人」の共通点
なぜか好かれる人は、自分から相手に興味をもって、相手のことを知ろうとします。
だから、話を聞くときも、目をキラキラ輝かせて「その話、もっと詳しく教えてください」「それ、初めて知りました」などと、身を乗り出すように聞いています。
テレビのトーク番組の司会者たちは、どんな人のどんな話も、好奇心全開で聞くので、トークする人たちがとても新鮮で、魅力的に見えてくるもの。「あの俳優さん、見た目はいい加減そうだけど、意外に努力家なんだ」とか「そんな壮絶な幼少期を過ごしていたなんて……」など意外な側面を知って、興味がわいてきます。
「どんな人も面白い側面をもっている」と思って聞くと、宝探しをするような感覚で、話すこと自体が楽しくなってくるのです。
話のテーマにはさほど興味がなくても、“教養”のひとつとして聞いたり、相手のキャラクターに興味をもって人間観察をしたり、話題に出てきたキーワードから話を展開したりして、それはそれで楽しいもの。
しかし、真面目すぎる人は、「面白がって聞く」ということができません。
自分に関係ない話では、目が泳いでいたり、「その情報は間違っている」と突っかかってきたり、「そんな話はどうでもいい」と話の腰を折ることを言ったり。“遊び心”がまるでなくて、興味のあることしか目を向けないので会話がつまらないのです。
「おもしろきこともなき世をおもしろく住みなすものは心なりけり」とは、高杉晋作の句。面白くない世の中を面白いと感じるかは、自分の心のもち方次第ということ。
好奇心旺盛な人の口癖は「面白い」。興味のあること、感動したこと、意外なこと、初めてのことなど「それ、面白いなあ」とつぶやいていると、わくわくしてきます。
どんな相手にも興味をもって、そのなかに面白さを見つけようとする人は、明るく、知性があって、間違いなく人が集まってくるのです。
人にレッテルを貼りそうになると
「そうともかぎらない」と呟く
かつて衣料品店店長として十数人をまとめるリーダーになったものの、うまく仕事が回らずイライラしていたことがありました。
そのとき上司から言われた教えは、「自分と同じように人ができると思うな。自分ができないことを人ができることもある」「人を決めつけるな。思わぬ才能を発揮することもある」という2つ。
それまで、パートやアルバイトに対して「なんでこんなこともできないのか?」「この担当を任せられる人がいない」などとイライラ。当然、それが態度に出てしまうので、スタッフといい関係を築けず、陰で悪口を言われる日々でした。