上司の言葉で、人に対して勝手に「できないヤツ」「あの人には無理」などとレッテルを貼っている自分にハタと気づき、「いや、そうともかぎらない」「あの人にも、できるんじゃないか」と思い直すようにしたのです。
それから「あなたならできるよ」などと期待を込めて言うようにしたところ、スタッフも劇的に成長して期待に応えてくれ、仕事も人間関係もうまくいくように。
野球の名監督の野村克也さんの名言に「先入観は罪、固定観念は悪」があります。
先入観は、最初から決めつけて見ること。固定観念とは、凝り固まった考え方。初見や偏見で「この人は能力がない」「この仕事は向いていない」「あの学校だから頭が悪い」などとレッテルを貼っては、可能性を狭めてしまうのです。
「きっとあの人は~だ」と決めつけそうになったら、「いや、そうともかぎらない」と思い直す癖をつけてください。また、「あの人の言うことはぜんぶ正しい」「世界一のリーダーだ」などとポジティブな面だけを見て、妄信するのも考えものです。
「人間とはそんなに簡単にわかるものではない」と心得ているから、相手に興味をもって相手をわかろう、理解しようとする姿勢になっていくのです。
会話上手は聞き上手
相手を主役にする力
人は他人の話を聞きたい欲求よりも、自分の話を聞いてもらいたい欲求が強いのです。それは「“自分”というテーマになにより関心があって、自分のことを話すのは楽しい」という理由もありますが、話を聞いてもらうことで「自分という人間を認めてもらえた」という深い喜びと安心感があるからです。
知らない人ばかりの集まりで心細いとき、自分の話を一方的にしてくる人がいるより、自分の話を熱心に聞いてくれる人がいるだけで、心強くなるものです。
ある友人は、孤独のなか、借金の返済に追われて絶望していたとき、ひとりの見知らぬ女性が話を聞いてくれたことで救われ、立ち直ることができたといいます。
家族や恋人、同僚など普段の人間関係でも、強いつながりを感じるのは、自分のことを認めてくれる人。心理学では、話を聞いてもらうことは、気持ちを吐き出してすっきりする“カタルシス効果”、仲間意識を感じる“バディ効果”、考えが整理される“アウェアネス効果”があるといいます。
そんな快感を与えてくれた人には、だれもが好意を抱くのです。反対に自分のことばかり話す人は、あまり好きになれないでしょう。
だれからも愛される人は、そのことを感覚的に理解していて「相手に楽しんでもらうことで、自分も楽しくなる」というサービス精神のある会話をしています。